あなたは誰かに「分不相応な生活をしているね」「分不相応な夢を持っているね」等と言われたことはありませんか?
人に言われて、あまりいい気持のする表現ではありませんよね。
この「分不相応」とは、正確にはどういう意味で使われるのでしょうか?
そして、どういった事柄に対して使えるのでしょうか?
この記事では、「分不相応」の意味と使い方、類義語・同義語、対義語・反対語、そして「分不相応」を使った例文をご紹介します。
「分不相応」の意味と読み方
「分不相応」は、「ぶんふそうおう」と読みます。
ちょっと発音しにくい言葉ですよね!
意味は「支出・生活・役割・行動などが、その人の財力・身分・立場・能力などに対してふさわしくない事」です。
簡単に言うと「持ち物や望みや行いが、その人につり合っていない。超えている」のです。
ですから、「庶民の身分が高い人に恋をする」事や、「お金のない人が贅沢な生活をしている」事に対して言うのをよく耳にする訳ですね。
「分不相応」の正しい使い方
「分不相応」という表現は、発音しにくい上に少し硬めに響く言葉にもかかわらず、文章よりも会話の中で聞くことが多いです。それはなぜでしょう?
「分不相応」とよく一緒に使われる言葉から、その場面を想像してみましょう。
- 「分不相応な結婚(恋愛)」
- 「分不相応な暮らし(生活)」
- 「分不相応な車(時計・家)」
- 「分不相応な望み(夢)」
- 「分不相応な仕事(役目)」
第三者がこういう表現を使うという事は、その人の判断基準から見て納得できる度合いに見えないので、「行きすぎ。やり過ぎ。調子に乗り過ぎ。」と思っているのです。
そこには心配、羨ましさ、妬み、やっかみ、不快さ等の感情が反映されています。
だから「分不相応」は、口語表現で使われることが多いのです。
「分不相応」によく似た言葉で「不相応(ふそうおう)」があります。
「分不相応」の元になった言葉ですが、この2つは同じように使われます。
「分不相応」は、「分=身分」+「不相応=ふさわしくない」からの複合語です。
もともと身分だけを意味した「分」ですが、そこから地位、能力、財力、実力なども示すようになったんですね。
ですから理屈では【「ふさわしくない」と思う理由が、その人の「身分・立場・地位・能力・実力」だと強調したい時に「分不相応」の方を使う】となりますが、実際には明確に使い分けられてはいないようです。
「分不相応」という表現は、【誰かの価値観によって使われる言葉】です。
大抵は第三者から見て、「ふさわしいと思えない」「納得できない」事を不満として表すことが多いのです。
「自分には分不相応だ」と言って何かを諦める人もいますが、恋愛も所持品も夢も仕事もあなたが望み、実現不可能ではないと判断するのなら、それは「分不相応」ではないんですよ!
「分不相応」の類義語・同義語
「分不相応」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか?
「分不相応」に最も近い表現は、「分」をとった言葉「不相応(ふそうおう)」です。
【社会的、習慣的な常識やルールに適切に対応していない】という意味です。
形容詞である「相応しくない(ふさわしくない)」や「不釣合い(ふつりあい)」も、類義語としてよく使われます。
その他の類義語は「分不相応」が使われる3つの状況で考えてみましょう。
1.身分・身の丈に合わない時
- 身分不相応
- 年齢不相応
- 立場をわきまえない
- 不似合い
- 不釣合い
「美女と野獣」や「タイタニック」のように、恋愛系でよく使われますね。「高嶺(たかね)の花」という言い方もされますよね。
見た目や身分のつり合いがとれていないと思われる恋愛や、年に合わない行動をする時に使われますね。
2.態度や望みが実力・実績に合わない時
- 高望みの
同じく映画で言うなら、「雨月物語」「アメリカンドリーム」でしょうか。
経験がないのに、一獲千金をねらったりする事ですね!
上下関係が厳しかった時代の映画や小説でよく使われる表現は、1と2の意味で使える「分をわきまえなさい!」「身の程をわきまえなさい!」「この身の程知らずが!」などですね。きっと聞いたことがあるでしょう。
3.能力や技量が役割・立場に適さない時
- 身にあまる
- 身の丈に合わない
- 身の丈を超えた
- 身の丈以上
過分な仕事や発表などの場で、能力以上の大役を任された時に使いますね。
映画で言うと「エリン・ブロコビッチ」や「パナマの仕立て屋」ですかね。
こういう大役を引き受ける時は、「恐れ多い」気持ちになるようです。
「分不相応」の対義語・反対語
他にも、「分不相応」の対義語・反対語をいくつかご紹介します。
「分不相応」の対義語には、「分相応」や「相応」が挙げられます。
否定の意味を持つ「不」を取り除いた言葉ですね。
通常「不」のような否定の【接頭辞(せっとうじ)】は、言葉の頭につきます。
しかし「分不相応」は、「不」が言葉の間に挟まれていますね。
もともと「分相応」の対義語はなかったのですが、「分相応」の類義語「相応」の反対語が「不相応」であるところから、「分不相応」という対義語を使うようになったと言われます。
対義語の「分相応」は、「その人の身分や立場や能力に合っている、つり合っている事」という意味で使われます。
この「分相応」という表現は、ネガティブな意味を持つ「分不相応」よりも使用頻度が低いです。
人は【何も問題がない】時には、あまり話題にしないもののようです。
その他の対義語としては、
- 相応しい(ふさわしい)
- 適切
- 適当
- 似合う
- そぐう
- 身の丈に合った
- 身分相応
- 年齢相応
- 立場をわきまえた
- 釣合いのとれた
などが挙げられます。
「分不相応」を使った例文
最後に「分不相応」を使った文例をいくつかご紹介しますので、参考にしてください。
- 子どもに小さい頃から分不相応な物を買い与えていたら、ろくな子に育たないよ。
- きみ、そんな分不相応な要求が通るとでも思っているのか!
- 彼らの暮らしぶりを見て「ずいぶんと分不相応な生活をしているな」と思ったよ。
- 貴族の方とのお見合い話なんて、私には分不相応な縁談話だと思います。
- 私には分不相応の望みだと思っていたので、実現できた事がとうてい信じられない!
まとめ
以上、「分不相応」の意味や用法について深掘りしてみました。
「分不相応」というのは、あくまでも第三者の見解です。
もし自分自身では「分不相応」だと思わず、その選択をしても何の支障も出ないのであれば、それでもいいのではないでしょうか。
この記事を読んで、あなたが「分不相応」の意味を正しく理解し、今後その知識を役立ててくれたらとても嬉しいです。
この記事が少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。