「椿事(ちんじ)」という言葉は、ご存知でしょうか。
おそらく時々は目にする言葉だと思います。
しかし、「椿」の字が読みづらかったり、「椿事」という字面から意味が連想しづらかったりで、出会ってもスルーしてしまう、そんな言葉ではないでしょうか。
一度知ってしまえば意味は難しくない言葉なので、この機会に習得して語彙を増やしましょう。
それでは、以下で「椿事」の意味や用法について深掘りしていきましょう!
「椿事」の意味・読み方
「椿事」は「ちんじ」と読みます。
次に意味ですが、まずは「椿事」の漢字をひとつずつ確認していきましょう。
「椿」は「つばき」という花の名前ですが、他に「長寿のたとえ」「父のこと」「ちん。変わったこと。不意の出来事」という意味もあります。
「事」は「こと」「できごと」です。
この二文字を組み合わせた熟語「椿事」の意味は、
「不意のできごと」
「変わったできごと」
「思いがけない(大変な)できごと」
です。
「椿事」は「珍事」とも書き、同じ意味です。
「椿事」の使い方
では「椿事(ちんじ)」はどのように使う言葉でしょうか。
「椿事」と書くより、「珍事」と書けばはるかに分かりやすく、意味も読み方も同じなのに、なぜあえて 「椿事」と書くのかといえば、やはりその理由は、かっこいいから・賢そうに見えるから、というところでしょうか。
会話で「ちんじ」と言えば、どちらの字を想定しているかは分かりません。
「珍」の字には、もともと、「たから」「とうとい」「すぐれている」「めったにない」というような良い意味があり、「こっけい」という意味合いは日本に入ってから付け加わったニュアンスです。
それでも現在は「珍」の字に「こっけい」「みょうちきりん」の印象が強すぎるので、文章を書くときに避けたいという気持ちになることも理解できますね。
「椿事」の類義語・同義語
「椿事(ちんじ)」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
- 「空前の」 いままでに例がないこと
- 「空前絶後」 いままでにも、これからもありそうもないほど珍しいこと
- 「未曾有の」 それに類することが今まで一度もなかったこと
- 「前代未聞」 いままでに聞いたことがないような変わったこと
- 「いまだかつてない」 これまでに一度もなかったこと
- 「これまでにない」 いままでになかったこと
「椿事」の対義語・反対語
「椿事(ちんじ)」の対義語・反対語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
- 「日常茶飯事」 とても普通で、何も珍しくないこと
- 「平凡」 特に優れた点、変わった点がない様子
- 「月並み」 型にはまっていて平凡な様子
- 「並大抵」 普通に考えられる程度という意味。通常、否定の形で「並大抵の努力ではできない」などと用いる
- 「ありふれた」 どこにでもあって珍しくない様子
- 「凡百」 ごく平凡でどこにでもあること
「椿事」を使った例文
「椿事(ちんじ)」はどのように使うのでしょうか。以下に例文を挙げてみました。
- 一生独身を貫くと思っていたキミがまさか結婚するとは、近年稀に見る椿事だね。
- 狭い村で起こったその椿事は、またたく間に村人全員の知るところとなった。
- わたしに教養があったって別に椿事でもなんでもないでしょ。なんでそんなに驚くの。
- これだけの不祥事を起こしておきながら、役員の辞任ひとつないなんて、やはり空前の椿事だよ。
まとめ
以上、「椿事(ちんじ)」の意味や用法について深掘りしてみました。
「椿事」だけではなく、「前代未聞」など、さまざまな類語や対義語をうまく活用して、ぜひ表現の幅を広げていただければと思います。
この記事が少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。