「同衾」という言葉は、ご存知でしょうか。
そもそも出会ったこともないし、使ったこともないし、「衾」は読めないし、意味も知らない、という人も多いかもしれません。
たしかに、知らなくても特に不都合はないかもしれませんが、古い小説などでたまたま遭遇した時にすんなり読めるとちょっと気分がいいかもしれません。
それでは、以下で、「同衾」の意味や用法について深掘りしていきましょう!
「同衾」の意味と読み方
「同衾」の読み方
「同衾」は「どうきん」と読みます。
また「ひとつね」「ひとつ」と読ませることもあります。
「同衾」の意味
次に意味ですが、まずは「同衾(どうきん)」の漢字をひとつずつ確認していきましょう。
「同」は「おなじ」です。
「衾」は、いろいろな意味がありますが、ここでは「夜具・布団」です。
つまり「同衾」は文字通りには「ひとつの布団」ということで、熟語としての意味は「一つの夜具の中に一緒に寝ること」です。
とくに、男女間のそれを表すことが多く、そこから「男女が同じ夜具の中に一緒に寝る」「性交の婉曲表現」という意味になりました。
「同衾」の正しい使い方
では「同衾(どうきん)」はどのように使う言葉でしょうか。
これはかなり古臭い印象のある漢語ですので、いまやかなり死語に近いのではないでしょうか。
高齢の小説家の作中などではもしかしたら現役ででてくるかもしれない程度です。
また、「性交の婉曲表現」以外で使われる例もほとんどないと思われます。
なので、イマドキであれば「性交する」「ベッドイン」「メイクラヴ」「Hする」「ヤる」「いたす」などが使われるでしょう。
「一つの布団」で性交をほのめかすような奥ゆかしい時代は終わり、時代は、露骨、あけすけの方向に向かっております。
「同衾」の類義語・同義語
「同衾(どうきん)」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
まず、本来的な「一つの布団で寝る」の同義語として、
- 「ひとつね」
- 「ともね」
があります。しかし、あまり使う人もいないと思われます。
次に、「性交の婉曲表現」としての類義語としては、
- 「致す(いたす)」
- 「夫婦生活」
などがあげられるでしょう。
もっと露骨に性交そのものを示す語は、枚挙に暇がありません。
- 「ベッドイン」
- 「メイクラブ」
- 「Hする」
- 「ニャンニャンする」
最後のは、80年代に流行した表現で、いまや死語かもしれません。
「同衾」の対義語・反対語
「同衾(どうきん)」の対義語・反対語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
事柄の性質上、はっきりとした対義語はありません。
「男女が性交をしない」という状態を表す表現としては、
- 「家庭内別居」
- 「仮面夫婦」
- 「セックスレス」
- 「清い交際」
- 「肉体関係がない」
- 「男女の仲ではない」
などが挙げられるでしょう。
いずれにしても男女が性交をしない関係というのはあたりまえすぎて、それを表す端的な言葉は見当たりません。
「同衾」を使った例文
「同衾(どうきん)」はどのように使うのでしょうか。
以下に例文を挙げてみました。
- 「ことに吾輩が時々同衾する子供のごときにいたっては言語道断である」(夏目漱石『吾輩は猫である』から。性交を意味しない例)
- 「女性と同衾するのは、彼にとってはじめての経験だったので、どうにも勝手が分からなかった。」
- 「娘よ、いいですか、正式に祝言をあげるまでは、同衾などしてはなりませぬよ。」
- 「偶然、両親が同衾している姿をみてしまい、子供心に衝撃を受けた。」
まとめ
以上、「同衾(どうきん)」の意味や用法について深掘りしてみました。
「同衾」だけではなく、「ベッドイン」「メイクラブ」など、さまざまな類語も、うまく活用して、ぜひ表現の幅を広げていただければと思います。
この記事が少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。