「普遍的」という言葉を目にしたとき、どのような印象を持たれるでしょうか。
なんとなく、変わらないもののような意味合い?なんとなく、壮大なイメージ?など、なんとなく意味はわかるものの、実際に正しく使えているのかな?という方が多いのではないかと思います。
本記事では、この「普遍的」についてご説明いたしますので、頭の中の「なんとなく」をひとつ取り払い、「普遍的」な知識を身につけましょう。
「普遍的」の意味
「普遍的」は「ふへんてき」と読み、
・「すべてのものに共通しているさま」
・「すべてのものにあてはまるさま」
という意味があります。
また、普遍の「普」と「遍」とには、ともに「広く」「すべてにわたって」の意味がありますので、「普遍的」をより簡単にいえば「広く全体にわたって、例外なくあてはまる状態」ということになります。
ひとつ例を挙げて考えてみましょう。
たとえば、「あらゆる生物にとって、命は欠かすことのできないものである」ことを説明するときには、「生命には普遍的な価値がある」というように表します。
「普遍的」の使い方
「普遍的」の適切な使い方を見ていきましょう。
「様々なものに、例外なく共通している状態」に該当する事柄には、どんなものがあるでしょうか。
普遍的価値
「各々の文明や宗教によらない人類共通の価値」を「普遍的価値」といいます。
さて、世界的に有名な建造物や場所といえば、自由の女神像やグレート・バリア・リーフ、日本でいえば原爆ドームや石見銀山などが挙げられます。
これらはユネスコによって選定された「世界遺産」であり、「世界が誇り、永代に亙って保存すべき人類最高の宝に値するもの」です。
人類に共通した宝という基準で選定された世界遺産は、まさに「普遍的価値」のある最たるものといえるでしょう。
普遍的無意識
「普遍的無意識」という言葉があります。「普遍的」の語彙解説からは少々逸れますが、感覚として捉えやすくなるのでご説明いたします。
普遍的無意識とは、「人間には個人の意識より深く、同じ種族や民族、あるいは人類などに共通して伝えられている感覚がある」とする心理学用語です。
種別や民族、国籍などの別を問わず、すべての人類は意識せずとも「花は美しいもの」「神は偉大な存在」とする感覚を持っています。
このように、無意識の領域での共通する感覚を、「普遍的無意識」と言い表します。
「普遍的」の類義語・同義語
それでは、「普遍的」に似通った言葉を挙げてみましょう。
- 世界的
- 一般的な
「普遍的」を、「広く」「すべてにわたって」という意味として捉えたとき、「世界的」「一般的」などが類する意味を含んだ語として挙げられます。
「世界的」は「世界全体にかかわるさま」を、「一般的」は「広く全体を取り上げるさま」を意味しており、どちらも「普遍的」と同様に、広く全体を対象としていることがわかります。
「普遍的」の対義語・反対語
次に、「普遍的」とは対をなす意味を持つ言葉とは何か、考えてみましょう。
- 特殊
単純に考えて、「広く、すべてにわたって」の反対に位置する状況は、「狭く、一部に限定して」になります。
類義語の「一般的」「世界的」などの意味と比較しても、「特殊」がふさわしい語といえるでしょう。
「特殊」には、二つの意味がありますが、「ある種類のもの全体にわたるのではなく、限られた若干のものだけにいえることやそのさま」との解釈が、「普遍的」とは対をなす語彙として適しています。
「普遍的」を使った例文
「普遍的」に続けられる言葉は、上記の「価値」「無意識」のほかにもいくつかあります。
それぞれの側面から作った例文を挙げますので、「普遍的」の正しい意味とともに、そのイメージも広げてみましょう。
- 恒久平和は、人類の普遍的な願いである。(普遍的)
- 普遍的価値を有すると認められた屋久島は、1933年に世界遺産に登録された。(普遍的価値)
- 食欲とは、生物に備わった普遍的欲求のうちのひとつである。(普遍的欲求)
- この冤罪事件は、私たちに「普遍的真理とは何か」を問いかけるものとなった。(普遍的真理)
まとめ:「普遍的」な知識を身につけよう
今回は、「普遍的」について説明いたしました。
最初は曖昧であった意味も、読み進めていくうちに「普遍的とは、すべての物事に例外なくあてはまること」と、お分かりいただけたのではないでしょうか。
近年、日本語の乱れが顕著であることが指摘されています。
「〜してます。」「食べれる。」などに象徴される「い抜き・ら抜き」の言葉、「重複(ちょうふく)」を「じゅうふく」と読むなどの誤読、「姑息(こそく/その場しのぎの意)」を「狡猾(こうかつ/(ずるがしこいの意)」の同義とする誤用など、市民権を得た感さえあります。
万物流転とはまさに「普遍的真理」であり、言葉の変化も致し方ないのかもしれませんが、日本語の持つ美しさはやはり普遍的なものです。
この記事が、日本語の「普遍的価値」を見直すきっかけとなりましたら幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。