新聞や雑誌などで「偏執病」という言葉を目にする事があると思います。
この「偏執」という漢字の読み方は、「へんしつ」?それとも「へんしゅう」でしょうか?
あなたは、どちらの読み方が正しいと思いますか。
この記事では、「偏執」の意味、使い方、類義語・同義語、そして対義語・反対語、「偏執」を使った例文をご紹介します。
「偏執」の意味
「偏執」の読み方は、「へんしゅう」ですが、「へんしつ」でも間違いではありません。
その他にも、古くは「へんしゅ」「へんじゅ」「へんじゅう」という読み方が存在します。
意味は、【偏見を固執して、他人の意見を受け付けないこと】です。
「偏執」の漢字を訓読みで考えると、「偏り(かたより)」+「執る(とる)」です。
「偏り」はいいとして、「執る」を分かりやすく言うと「しっかり握る」です。
「執」の漢字を使った「固執」「執着」「執念」「執心」という言葉からの方が、意味をイメージしやすいかもしれませんね。
いずれにせよ「偏執」は、【ある問題や状況を客観的に見る事を妨げる偏った見方】を表します。
「偏執」の使い方
「偏執」は、「偏執病」や「偏執症」にも使われる言葉ですから、マイナスイメージの強い表現です。
【ひとつの事に病的に熱中すること】なのですが、「偏執状態の人」は、自分の偏った考えを頑なに信じているので、他の人の意見を受け入れられません。
端的に言えば、「拘る(こだわる)を過度に超えた状態」と言えるでしょう。
この表現を使うのは、【そのこだわりが強すぎて、他の事に何かしらの支障がでている状態】の時がほとんどです。
ですから、そんなに深刻な状況でない時は「偏執」ではなく「強いこだわり」、もしくは「頑な」や「片意地」などの言葉を使えば十分です。
なお、「偏執」を名詞表現にすると「偏執性」、形容詞表現では「偏執的な」となります。
「偏執」の類義語・同義語
「偏執」は「マニアック」や「フリーク」などの言葉で表現される事がありますが、これらのカタカナ言葉だけですと使用範囲が限られてしまいます。
他にも類義語はいくつもありますが、どの言葉を使うかは、まず「偏執」という言葉に含まれるいくつかの性質を分けて考えるのがいいでしょう。
- 【偏り】という意味に重点を置いた場合
僻見、偏向、偏見、偏屈、偏った考え、傾き、不公平、バイアス
- 【固執】という意味を強調したい時は
拘り、意固地(または依怙地)、片意地、思い込み、頑な、頑固、強情、執着
- 【事前にある強い考えのため他の考えを受け付けない】という意味では、
先入観、先入見、先入主、成心、固定観念、迷妄
などが挙げられます。
どれを類義語として使うかは、上記の各言葉の持つ性質を踏まえた上で、その文脈に合わせて選ぶのがよいでしょう。
「偏執」の対義語・反対語
「偏執」の対義語や反対語は、特に存在しません。
ですから、類義語・同義語の部分で見たように「偏執」がもつ意味を3つの性質に分け、各性質に対する言葉を探すのが一番です。
- 【偏り】という意味に重点を置いた場合の反対語
バランスの取れた見方、つり合いのとれた考え、調和、平等、均一、公平など
- 【固執】という意味に重点を置いた場合の反対語
柔軟性、融通性、フレキシビリティ、柔らかい考え、素直、柔軟、可動など
- 【事前にある強い考えのため他の考えを受け付けない】という意味に重点を置いた場合の反対語
直観、固定観念のない、虚心など
他にもたくさん挙げられますが、いずれもその言葉の持つ特性の強弱を意識して使うのが良いでしょう。
「偏執」を使った例文
最後に「偏執」を使った文例をいくつかご紹介しますので、参考にしてください。
- あの集団の奇行は、その土地の迷信や宗教上の偏執に端を発しているようだ。
- 幼少のころから、彼には若干偏執のきらいがある。
- もはや薬だけでは、彼女の偏執症的な妄想を抑える事はできないであろう。
- 取り調べ中の容疑者には、強い偏執的な性向がうかがえた。
- あの人の部屋からは、彼女への強い偏執に繋がるものが感じられる。
- あまり自説に偏執しすぎると、いずれ誰もついてこなくなるだろう。
まとめ
以上、本記事では「偏執」という言葉についてご紹介しました。
「偏執」はマイナスイメージの強い言葉ですから、使用には少し注意が必要ですね。
私達もうっかり【偏執状態】にならないように、普段から他の人の意見も聞くようにしましょう。「こだわりもほどほどに」が一番ですね!
この記事を読んで、あなたが「偏執」の意味が分かり、今後この言葉を正しく使うお手伝いができたのならとても嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。