「ひかがみ」という言葉は、ご存知でしょうか。
何十年も日本語を使って生きてきたけれど、一度も見たことも聞いたこともない、という人、意外と多いんじゃないでしょうか。
そういう意味では、知らなければ知らないでなんとかなってしまう語ではありますが、知っていて損はありません。
そこで、以下では「ひかがみ」の意味や用法について深掘りしていきましょう!
「ひかがみ」の意味
「ひかがみ」は漢字では「膕」と書きます。
意味は、「ひざの後ろのくぼんでいる部分」です。
「引き屈み(ひきかがみ)」が「ひっかがみ」となり「ひかがみ」になりました。
ようするに「屈むときに曲げる部分」ということですね。
「ひかがみ」という語感から「おかしみ」や「たのしみ」といった、何かを形容する言葉の名詞形と想像した人もいたのではないでしょうか。
蓋を開けてみれば、単に、体の部位を表す名詞なのでした。
「ひかがみ」の使い方
では「ひかがみ」はどのように使う言葉でしょうか。
そんな聞いたこともない「ひかがみ」なんて使わなくても、「膝の裏」って言えば済むじゃん? と思った人、ごもっともです。なので、使わなくてもまったく問題なく生きていける言葉ではあります。
逆に会話中で「ひかがみがさー」と言っても「え? なにそれ?」と返され、いちいち説明しなければならない可能性は高いです。
使うとすれば、ちょっと気取った俳句や詩や小説などの中で「膝の裏のくぼんだ部分」と書く代わりに「ひかがみ」を使えば、とたんに高尚な、格調高い感じが演出できる、ぐらいでしょうか。
「ひかがみ」の類義語・同義語
「ひかがみ」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
- よぼろ
- ひっかがみ
- 膝の裏
- 膝窩(しっか)=医学的な言い方
次に、あまり知られていない体の名称を表す言葉を類語として挙げてみましょう。
「踵(きびす)」
=これは「かかと」のことです。「踵を返す」という言い方はよく使われます。
「盆の窪 (ぼんのくぼ)」
=これはうなじの中心のくぼんだ部分を言います。
他にも知られざる体の部位の名称はいろいろありますので、興味のある方は調べてみてはいかが?
「ひかがみ」の対義語・反対語
「ひかがみ」の対義語・反対語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
体の部位の反対語と言われても難しい訳ですが、「膝の裏」の反対ですから「膝の表」がそれにあたるでしょう。
- 膝頭(ひざがしら)
- 膝小僧(ひざこぞう)
上記がそれにあたります。
「膝(ひざ)」も、「膝頭」と同じ意味で使いますが、あの脚の曲がる部分一帯を指していう言葉でもあります。ちなみに、膝頭のところにある皿のような骨、あれは「膝蓋骨」と言います。
「ひかがみ」を使った例文
「ひかがみ」はどのように使うのでしょうか。以下に例文を挙げてみました。
「ひかがみ」を使った例文
- 足の踝(くるぶし)が、膝の膕(ひつかがみ)が、腰のつがいが、頸(くび)のつけ根が、顳顬(こめかみ)が、ぼんの窪が——と、段々上って来るひよめきの為に蠢(うごめ)いた。 」折口信夫「死者の書」より
- ひかがみをしっかりと伸ばすようにストレッチしましょう。
- 膝の裏側の膝窩(しっか)には、ひかがみという言葉があるけれど、肘の内側の肘窩(ちゅうか)には、それにあたる言葉がない。
- 二枚貝の内側のように艷(つや)やかなひかがみ。
まとめ
以上、「ひかがみ」の意味や用法について深掘りしてみました。
「ひかがみ」はあまり使う機会はないかもしれませんが、いつか豆知識として役立つかもしれません。
ともあれ、さまざまな類語や、対義語などを、うまく活用して、表現の幅を広げていただければと思います。
この記事が少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。