「必死」という言葉は、とてもありふれていて、よく目にしますし、実際、文章や会話の中でも使う頻度の多い言葉です。
似たような言葉で「必至」という言葉もあります。
読み方は「ひっし」で、同じ読みですが、この二つの違いは? 使い分けはちゃんと出来てる? と、聞かれたら、ちょっと不安になるかもしれません。
そこで、以下では、「必死」の意味や用法について、「必至」との使い分けについて、深掘りしていきましょう!
「必死」の意味
漢字一文字ずつを見ると「必=かならず」「死=しぬ」ですので、本来の意味は文字通り「必ず死ぬ」です。
必死は以下の3つの意味で使われます。
- 必ず死ぬこと。
- 死ぬ覚悟で物事に懸命に取り組むこと。
- 将棋の手筋の一種で、どんな手で受けても、相手の次の手で即詰みになる状態。「必至」と書くほうが多い。
この中で、いちばん使われる頻度が高いのは、2の意味です。
必死に頑張る、必死に走る、など日常的によく使うし、耳にしますね。
「必死」の由来や語源
「必死」には、特にはっきりした由来や語源はないようです。
インターネット上の由来解説記事の中では、上記の3の意味、将棋の手筋の「必死」を、語源のように説明している記事も見受けましたが、果たしてそうでしょうか。
むしろ、1の意味の「必ず死ぬこと」が、将棋の用語として取り入れられたと考えるほうが自然だと思われます。
また「必死」の語源を「必ず死ぬ」だと説明するネット上の発言、書き込みも散見しますが、あえて、語源とする必要はないように思えます。
「必死」の類義語・同義語
「必死」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか?
- 決死
- 懸命
- 命がけ
- 死に物狂い
「必死」の類義語としては、まずは「決死」があげられます。「決死の覚悟で」などと使われますので、ほぼ同義だと言えます。
他にも「懸命」「一所懸命(一生懸命)」「命がけ」「死に物狂い」などが類義語としてあげられます。
これらの表現のなかでの「必死」の特徴としては、それをしなければ本当に命が失われるという程ではない事柄に対しても軽い調子で使われる、ということ。
「必死で宿題をやる」は当たり前に使いますが、「命がけで宿題をやる」だと大げさですし、「死に物狂いで宿題をやる」となると、ちょっと狂気を感じてしまいますよね。
「必死」と「必至」の違い
「必死」と同じ読みの「必至」という言葉があります。
発音も同じだし、なんとなく似た言葉と感じてしまうかも知れませんが、意味は違いますので、きちんと区別しましょう。
では、「必至」の意味をみてみましょう。
「必至」は「必=かならず」「至=いたる」ですので、「その状態に至ることが避けられない状態」「そうなることが確実」を意味します。
例文としては「食品偽装問題が発覚したので、A社の業績悪化は必至だ」「衆議院の解散は必至の情勢だ」のように使用します。
「必死」と「必至」の使い分け
「必死」と「必至」の使い分けですが、それぞれ意味が違いますので、意味さえきちんと押さえていれば、どちらを使うべきか迷う場面はあまりないでしょう。
意味の3で説明した将棋の手筋は、「必死」と「必至」の両方が使われています。
これは「王将が必ず詰む=死ぬ」なので「必死」、「必ず王手に至る」ので「必至」と、どちらの言葉もあてはまるためだと言えるでしょう。
「必死」の正しい使い方
それでは次に「必死」の正しい使い方について考えてみましょう。
「必死」の意味自体は問題ないと思いますので、類義語との使い分け方が、注意するべきポイントになります。
類義語の項目でも説明しましたが、「必死」は他の類義語と比べて、軽い調子で使われる事が多いです。
つまり、「必死さ」の度合いが弱まっている言葉だと言えます。なので本気を示したい時は「全力を尽くす」など、別の表現を工夫したほうがいいでしょう。
「必死」を使った例文
「必死」はどのように使うのでしょうか。以下に例文を挙げてみました。
1・「はじめての狩猟で勝手がわからず、わたしは必死の形相で鹿を解体した。」 2・「いまごろ受験生たちは、必死で過去問を解いているだろう。」 3・「必死で走ったおかげで、なんとか電車に間に合った。」 4・「会社をリストラになり、必死に職探しをしたが、なかなかいい就職先がみつからない。」 5・「必死の覚悟で、バンジージャンプに挑戦した。」 6・「久しぶりの合コンだからって、あの子、オシャレ頑張りすぎ。必死だよね。」
- はじめての狩猟で勝手がわからず、わたしは必死の形相で鹿を解体した。
- いまごろ受験生たちは、必死で過去問を解いているだろう。
- 必死で走ったおかげで、なんとか電車に間に合った。
- 会社をリストラになり、必死に職探しをしたが、なかなかいい就職先がみつからない。
- 必死の覚悟で、バンジージャンプに挑戦した。
- 久しぶりの合コンだからって、あの子、オシャレ頑張りすぎ。必死だよね。
まとめ
「必死」の意味や用法について深掘りしてみました。
「必死」ばかり使わず、多数ある類義語や似た表現に置き換えてみることが表現の幅を広げるポイントになります。
また、例文6のように「必死」はネガティブなニュアンスでも使われるので注意しましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。