「幾星霜(いくせいそう)」という言葉を知っていますか?
最近ではあまり使われなくなった言葉で、見たことがないという人も多いのではないでしょうか。ただ、古い小説の中では出会うこともあり、なかなか趣のある言葉です。
「幾星霜(いくせいそう)」とは「(苦労を経た上での)長い年月」のことを表します。
知ってしまえば使い勝手の良さそうな言葉ですよね!実は、幾星霜はすごくロマンチックで奥深い言葉なのです。
以下では例文や正しい使い方を解説し、「幾星霜」を深掘りしていきます!
「幾星霜」の意味と読み方
「幾星霜」は「いくせいそう」と読み
「(苦労を経た上での)長い年月」を表す言葉です。
まずは、それぞれの漢字を分解して見てみましょう!
幾・・・不定の数量、いくつ、いくら、数量の多い・年月の長いことを表す
星・・・天体である星のこと、時の流れ、月日のこと
霜・・・氷の結晶である霜のこと、年月(=星霜)のこと
実は、「星霜(せいそう)」という言葉があるんです。
星は1年に天を1周しますよね。霜は1年ごとに降ります。なのでその時の流れを表した「星霜」は歳月・年月という意味の言葉なのです。
そこに幾がつくことで、「長い年月」を意味します。
特に「幾星霜(いくせいそう)」という熟語には、ただ過ぎ去った年月のことではなく、「苦労を経てきた」「多くの経験を積んできた」「何かの想いのこもった長い歳月」という意味合いがあります。
「幾星霜」の正しい使い方
では、「幾星霜(いくせいそう)」はどういう時に使うのでしょうか。
日常会話では「長い年月を経て」という表現をします。
これを「幾星霜」と言い換えると、使われた状況によって様々に、奥深く趣のある、ロマンチックな言葉になります。
例えば、「幾星霜の今日も季節を感じることができた。」と言うと「何百年前から変わらずそこにある悠然とした自然・変わることのない時の流れ」を感じることができます。
「もう幾星霜経っただろうか。」と言うと「あぁ、いつの間にか、どれ程の月日が経ったのだろうか・懐かしい」というような情景を感じることができます。
そのため、正しくない使い方としては、なんの苦労もなく、ただ惰性で過ぎていったような時間を「幾星霜(いくせいそう)」と言い表すことは間違いと言えるでしょう。
「幾星霜」の類義語・同義語
「幾星霜(いくせいそう)」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか?
- 歳月(さいげつ)・・・年月、としつき
- 年月(ねんげつ)・・・年や月、長い時の流れ
- 長年(ながねん)・・・長い時間
- 幾歳月(いくさいげつ)・・・どれくらいの長い歳月
- 悠久の月(ゆうきゅう)・・・果てしなく続く長い時間、途方もない長い歳月
「幾星霜」の対義語・反対語
「幾星霜(いくせいそう)」の対義語・反対語は、明確にはありません。
「長い年月」を表す言葉ですから、あえて表現するならば下記のような言葉が反対のことと言えるでしょう。
- 短時間・・・みじかい時間
- 短期・・・時間的に短いこと、短い期間
- 刹那・・・きわめて短い時間、瞬間
- 一瞬・・・一回またたきする間、きわめてわずかの間
- あっという間・・・「あっ」と短く声をあげる間だけの合間
- 一寸・・・ごく短いさま
- 僅(わず)かな間・・・あっという間、つかの間
「幾星霜」を使った例文
「幾星霜(いくせいそう)」はどのように使うのでしょうか。以下に例文を挙げてみました。
- 20年の幾星霜を経て、やっと医師の免許を取得した。
- 戦争が終わり幾星霜を送った家屋たちが、ただそこにはあった。
- 友人の言葉に幾星霜の迷夢(めいむ)が醒(さ)め、いかに愚かなことを続けていたのかを悟った。
- 社会に出てから幾星霜。彼も立派に成長したものだ。
- 『木ぎれは蘚苔(せんたい)にくさって、鉄環(てつわ)は赤くさびている、風雨幾星霜、この舟に乗った人は、いまいずこにあるか、かれはどんな生活をして、どんなおわりをとげたか。』佐藤紅緑著、少年連盟より
まとめ
以上、「幾星霜(いくせいそう)」の意味や用法・例文について深掘りしてみました。
苦労を含んだ長い月日を表すことば、幾星霜。知ってしまえば簡単な言葉ですよね!ぜひ類語や対義語と合わせて使いこなしてみてください。
この記事が少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!