「諌(いさ)める」という言葉は、使われている漢字が難しく、書籍などで急に遭遇すると、読み方も「?」となってしまいそうな言葉です。
でも、結構よく使われる言葉なので、スルーしてしまわず、せっかく出会ったこの機会に、使いこなせるようになってしまいましょう。
という訳で、以下では、「諌める」の意味や用法について深掘りしていきましょう!
「諌める」の意味
まず「諌める」は「いさ・める」と読みます。
「諌める」に使われている漢字「諌」を確認してみましょう。
この漢字は、「年長者(君主、目上の人など)に逆らって、誤りを指摘する。また、直言して悪事をやめさせる」という意味です。
昔の中国(宋)には、「諌院」というお役所に「諌官」という役人(官吏)がいました。その仕事は、君主の過失をいさめることでした。
その意味は「(多くの場合)目上の人に対して、考え方や行いが間違っていることを指摘して、改めさせること」です。
「諌める」の使い方
では、実際「諌(いさ)める」はどのように使うのでしょうか。
意味の項で説明した通り、目下の者が目上の者に対して、誤りや悪事を指摘し、正す、という使い方をします。
同格の間や、目下に対して使うのは、本来は誤用だったわけです。
宮崎駿の映画『風の谷のナウシカ』の中で、クシャナが「諫言(かんげん)耳が痛い」というセリフを言います。
この場面で「諫言(かんげん)」を言ったのは、ユパ様です。
ユパ・ミラルダは年上ですが、一般の武人。
それに対し、クシャナは大国トルメキアの王位継承権を有する姫殿下ですから、目上にあたり「諫言」の使い方として正しい訳ですね。
「諫言耳に逆らう 」 ということわざもあります。正しい指摘でも目下から言われると素直に聞き入れがたい、ということですね。
「諌める」の類義語・同義語
「諌(いさ)める」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
- 諫言する
- 直諫する
- 忠言する
- 忠告する
- たしなめる
などが挙げられますが、「忠言」「忠告」「たしなめる」は立場の上下にかかわらず使われるようです。
ただ「忠」という字も「まごころ」という意味の他に「臣下が君主に対して忠実である」という意味もあるので、本来はやはり「下から上への諌め」という使い方が正しかったと言えます。
「諌める」の対義語・反対語
「諌(いさ)める」という言葉は、「下の者から目上の者に指摘する」という意味ですから、反対語は「上の者から下の者に指摘する」という意味をもつ言葉が挙げられます。
- 説教する
- 諭す
- 説諭する
- 戒める
- 訓戒
- 注意する
などがあります。
さすがに、「上から下」の表現は多いですね!
また、他にも「間違いを正す」「悪をやめさせる」の反対の表現としては、
- そそのかす
- 放任する
- 野放しにする
などが挙げられるでしょう。
「諌める」を使った例文
「諌(いさ)める」や「諫言(かんげん)」はどのように使うのでしょうか。
以下に例文を挙げてみました。
- 死をも覚悟の上、お諌め申し上げたのだが、殿は、まったく聞く耳を持たれなかった。困ったものじゃ。
- 生意気な諫言などして、さぞ忠義者を気取っているのであろうが、黙ってワシの言うことに従っておればよいのじゃ。
- あの人は唯我独尊の人だから、誰が諌めたところで無駄というものだろう。
- 勇気を持って諌めようという者に恵まれないから、上層部が腐敗していくんだよ。
まとめ
以上、「諌める」の意味や用法について深掘りしてみました。
勇気を持って「諌める」目下の人も、「諫言に耳を傾ける」目上の人も、どんどん増えてほしいものですね。
ともあれ、「諌める」という言葉や、言い換え表現を活用して、ぜひ、表現の幅を広げていただければと思います。
この記事が少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。