「意趣返し(いしゅがえし)」という言葉は、あまり馴染みがないかもしれません。
文章中で遭遇しても、文脈からなんとなく意味を想像して、そのままやりすごしてしまうことも多いのでは?
ですが、せっかく出会ったこの機会にぜひ「意趣返し」を使いこなせるようになりましょう!
そこで、以下では「意趣返し」の意味や用法について深掘りしていきましょう!
「意趣返し」の意味
まずは、「意趣返し(いしゅがえし)」の漢字をひとつずつ確認していきましょう。
「意」は「こころ」「おもい」
「趣」は「おもむき」「こころもち」という意味です。
ですので、「意趣」はもともと、「心の向き方」「かんがえ」という意味です。そして、日本に入ってきてからそこに「理由」や「恨み(うらみ)」という意味が加わりました。
ということで「意趣返し」は「恨み」を「返す」こととなります。
・「恨みを返す」
・「復讐する」
・「仕返しをして恨みを晴らす」
という意味で使います。
「意趣返し」の使い方
「意趣返し」は「いしゅがえし」と読みます。
意味の項で説明した通り「仕返し」「復讐」という意味があります。
なので、なんらかの攻撃や、いらがらせ、心無い行為や、対応などを受けて、恨みの感情を抱き、その悪感情を解消するために、仕返し、復讐を行う、という場合に使用します。
同じような意味で「仕返し」や「復讐」という言葉もありますが、「仕返し」では軽い、幼稚な印象になったり、「復讐」では語感が強すぎるなどという場合に使いやすい語彙だと言えるでしょう。
「意趣返し」の類義語・同義語
「意趣返し(いしゅがえし)」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
- 「意趣晴らし」=恨みを晴らすということ
- 報復(ほうふく)
- 復讐(ふくしゅう)
- リベンジ
- 反撃(はんげき)
- 逆襲(ぎゃくしゅう)
- 「遺恨を晴らす」=心の中に残っている恨みを解消すること
また、恨みの元となることを相手に報復するという言葉では、
「敵を討つ」(かたきをうつ)
「仇討ち」(あだうち)
なども似た意味の言葉と言えます。
「意趣返し」の対義語・反対語
「意趣返し(いしゅがえし)」の対義語・反対語にはどのようなものがあるでしょうか。
はっきりとした反対語はないので、「意趣返し」とは対照的な状況を示す言葉を以下にあげてみましょう。
※恨みを持って、仕返しするのではなく、相手を許すことを表す言葉として
- 水に流す
- 勘弁する
- 堪忍(かんにん)
- 許す
- 赦す(ゆるす)
- 寛恕(かんじょ)
- 容赦(ようしゃ)
などが挙げられます。
また、「意趣返し」が出来ず、恨みが残った状態を対照的だと考えると、
「遺恨を残す」
「わだかまりが残る」
「禍根が残る」
「しこりが残る」
などの表現が挙げられるでしょう。
「意趣返し」を使った例文
「意趣返し(いしゅがえし)」はどのように使うのでしょうか。以下に例文を挙げてみました。
「意趣返し」を使った例文
- 某女優がとつぜん舞台から降ろされたのは、彼女にフラれた演出家の意趣返しだと噂されている。
- 新社長が就任したとたん、某取締役を下請けに出向させたのは、選挙戦で対立候補側を支持したことへの意趣返しだ。
- クラス全員から陰湿なイジメを受けていることへの意趣返しとして、給食の汁物の中にツバを入れた。
まとめ
以上、「意趣返し」の意味や用法について深掘りしてみました。
遺恨が残らないように、意趣返しをするか、それともさらっと水に流すべきか、人生いろいろですね。
ともあれ、「意趣返し」という言葉やその他の類語など、上手に活用して表現の幅を広げていただければと思います。
この記事が少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。