「厭わない」という言葉は、ちょっと古風な感じの言葉です。
漢字の「厭」から、意味はなんとなく分かるきもしますが、使いこなせているかどうかは不安な言葉ではないでしょうか。
そこで、以下では「厭わない」に加えて「厭う」「厭わしげ」なども含めて、使いこなせるよう、その意味や用法について深掘りしていきましょう!
もくじ
「厭わない」の意味と読み方
「厭わない」の意味
「厭(いと)わない」は「厭う」を否定した言い方ですので、まず「厭う」からみていきましょう。
「厭う」は、簡単にひとことでいえば「イヤだ」ということです。
「わずらわしく感じて、それを避ける」という意味で使用します。
「厭わない」は、それを否定する表現なので、「イヤではない」「イヤがって避けたりはしない」という意味で使います。
積極的に「好き」というほどではないことに注意しましょう。
ニュアンスとしては「面倒だからと避けたりはしない」ぐらいの感覚です。
「厭わしげ」は「わずらわしい感じがする」という形容詞です。
「厭わしさ」という名詞でも使われます。
「厭わない」の読み方
「厭わない」は「いとわない」と読みます。
同様に「厭う=いとう」「厭わしげ=いとわしげ」と読みます。
「厭わない」の正しい使い方
「厭わない」は、どのように使うでしょうか。
「苦労を厭(いと)わない」はよく使う例です。
別に好き好んで苦労する訳ではないけれど、仮に苦労が伴(ともな)っても避けることなく頑張る、という感じです。
逆に「厭う」は、煩わしいから避ける訳です。「雨を厭う」なら外出はやめようか、となるでしょう。
「世間を厭う」「他人を厭う」・・・これがこじれると、ひきこもりになりそうです。
「厭う」にはもう一つの意味があります。
それは、「健康に気をつける」「体を大事にする、いたわる」という意味です。
手紙などで「どうかお体をお厭いください」などと使います。
「厭わない」と否定形になった場合には、この2つ目の意味で使われることはなさそうです。
「厭わない」を丁寧語にする場合
「厭わない」を丁寧語にして使う場合はどういう形になるでしょうか。
一番普通に考えれば「厭いません」となります。
他にふさわしい言い換えを探すとすれば、「敬遠(けいえん)しない」を丁寧に直して「敬遠いたしません」などが使えます。(敬遠・・・意識的に近づくのを避ける、尊敬したふりをして避けること)
「厭わない」の類義語・同義語
「厭わない」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、いくつかあげてみましょう。
- 面倒くさがらない
- 敬遠(けいえん)しない
- 避けない
- 嫌わない
- 嫌(いや)がらない
「煩わしがらない」 これは間違いではないですが、あまり使わない表現でしょうか。
「苦労を厭わない」に似た、言い換え表現には 「苦労を惜しまない」があります。
「厭わしい」という形容詞の類義語としては「疎ましい」「おぞましい」「煩わしい」などがあります。
「厭わない」の対義語・反対語
「厭わない」の対義語・反対語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、いくつかあげてみましょう。
- 「厭う」 これは「厭わない」の反対語です。
- 「毛嫌いする」「虫酸が走る」「おぞましい」
- 「真っ平だ」「真っ平御免だ」
- 「煩わしがる」
- 「避ける」
- 「忌避する」
- 「嫌う」「忌み嫌う」
- 「憎がる」「嫌がる」
「苦労を厭わない」の反対の表現としては「苦労を厭う」よりは「労を惜しむ」「手抜きをする」などを使ったほうがこなれた言い回しです。
「厭わない」を使った例文
「厭わない」はどのように使うのでしょうか。以下に例文を挙げてみました。
- 他人が嫌がって避ける仕事も厭わないで、がむしゃらに働き大富豪になった。
- 彼女と結婚するためなら、どんな苦労も厭わない。
- 雨の日も風の日も、風邪をひくことすら厭わずに、対象を尾行し続けた。
- どんなグロテスクな食材を出されても、厭わないで試食するグルメレポーター。
- 敵国に負けないためには、一億玉砕をも厭わない。
まとめ
以上、「厭わない」の意味や用法について深掘りしてみました。
「厭わない」「厭う」「厭わしげ」だけではなく、ご紹介した同義語・類義語や言い換え表現なども上手に活用して、言語表現の幅を広げてください。
この記事が少しでもお役に立ったなら嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。