「諧謔」というこの文字、なんだか画数が多くて難しそうなイメージですね。
こういった類の言葉は、「へん」ではなく「つくり」だけを見ると読めることも多々あります。さて、「諧謔」はなんと読むでしょうか?
皆勤賞の「皆」、自虐の「虐」で、正解は「かいぎゃく」です!
では、意味は?と考えたとき、頭を抱えてしまう方が大多数ではないでしょうか。
今回は、この「諧謔」について解説していきたいと思います。
諧謔の意味と読み方
冒頭のクイズで種明かしをしたとおり、「諧謔」は「かいぎゃく」と読みます。
諧謔の意味とは「滑稽味(こっけいみ)のある気のきいた言葉」 「しゃれや冗談」などを意味します。
「諧謔」の「諧」には、「おどける」「たわむれる」「ユーモア」などの意味が、また、「謔」にも同じように「おどける」「たわむれる」「たわむれ」などの意味があり、おどけた様子を二乗してできたかのような熟語です。
一見、やや堅苦しい印象のある漢字が使われた熟語ですが、正反対の意味を持つことに意外な印象を受けますね。
諧謔の使い方
「諧謔」は単体でも使いますが、「〜味」「〜的」「〜性」などの接尾辞と組み合わせて使うことも多々あります。
「〜味」を組み合わせることにより対象となる物事への面白みを深め、「〜的」をつけてそのような性質を持ったものの意を強め、「〜性」をつければ物事の性質や傾向、素質を表すことができます。
また「諧謔精神」「諧謔小説」のように複合名詞としても使用します。
これらには「人を笑わせようとする精神」「洒落の効いた小説」という意味があります。
さらに、機知に富んだ言葉を言う人や、そういった状況を表すものとして「諧謔を弄する」という言葉もあります。「弄する(ろうする)」には「思うままに操る」という意味がありますので、まさに機転の利く言葉が次々と繰り出されている光景が浮かびますね。
諧謔の類義語・同義語
滑稽味のある言葉として諧謔(かいぎゃく)と同義である言葉には「機知(きち)」「頓知(とんち)」「地口(じぐち)」「戯言(ざれごと、ぎげん)」「冗談(じょうだん)」などがあります。
外国語では「ユーモア」「ウィット」「エスプリ」なども類義語として挙げてもよいでしょう。
なお、「諧謔」の類義語には「洒落(しゃれ)」も含まれます。
「洒落」とは、「洒脱で気が利いていること」という意味があり「洗練されている」「心がさっぱりしてこだわらないさま」というイメージが含まれます。
したがって、努力ではいかんともしがたい個人の特徴や欠点をつくような、人を不快にさせる言葉を「諧謔」として使うことは避けましょう。
諧謔の対義語・反対語
諧謔(かいぎゃく)について、対義語として定義されている言葉は特にありません。
そこで、類義語の「滑稽」の意味に、さらに「諧謔」の持つニュアンスを加え、対を成す言葉を考えてみましょう。
「滑稽」の意味である「笑いの対象となるおもしろいこと」「おどけたこと」に、「諧謔」の軽妙洒脱なニュアンスを加えたイメージの反対の状況は「機転や融通が利かず、面白味に欠ける」となります。
これに相応しい言葉としては「厳格」「堅物」「生真面目」などが挙げられます。
これらの言葉から、冗談や軽口などを言わない真面目な人物が頭に浮かぶのではないでしょうか。
諧謔を使った例文
それでは、諧謔(かいぎゃく)を使った例文をご紹介します。
みなさんも諧謔に富んだ例文を考えながら読んでみてくださいね。
その際、類義語として挙げた言葉と入れ替えて文章が成立するか、成立しなければどのような言葉を足し引きするか、などを試してみるのも面白いかもしれませんね。
- 読み手を飽きさせないよう諧謔に富んだ言い回しを考える
- お調子者の彼は諧謔を弄して場の空気を和ませた
- ああ見えて、彼には諧謔的な一面がある
- まったくもって諧謔味のない文章だ
- 一見、硬質な文章に秘められた諧謔性に気づく者は少なかろう
諧謔の意味まとめ
いかがでしたでしょうか。「諧謔」という言葉には、字面に似つかわしくない軽妙洒脱な意味があることをご理解いただけたでしょうか。
機知に富んだ言葉をその場その場で発することができるようになるには、頭の回転の速さもさることながら、豊富な語彙力も大切です。
たとえ駄洒落であっても、頭で言葉を結び付けたり韻を踏むよう考えたりすることは、脳の活性化にきわめて有効であるといわれています。
みなさんも、諧謔精神にあふれた人物を目指してみませんか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。