「閑古鳥(かんこどり)」という言葉は、単独で使うより、「閑古鳥が鳴く」という形で使うことが圧倒的に多い言葉です。
ところで、なんで「閑古鳥が鳴く」というようになったのでしょう。
そもそも、「閑古鳥」ってどんな鳥なんでしょう。
考えてみると意外と謎だったりします。
そこで、以下では、「閑古鳥」の意味や用法について深掘りしていきましょう!
「閑古鳥」の意味
まず「閑古鳥(かんこどり)」の正体ですが、これはカッコウ(郭公)の異名です。
例の「カッコー、カッコー」と森のなかで鳴く鳥ですね。
「閑古鳥」は、「閑子鳥」とも書きます。
ということは、「閑古鳥が鳴く」とは、文字通りには「郭公(カッコウ)が鳴く」という意味になりますが、「閑古鳥が鳴く」は、まったく別の意味をもって使われています。
「閑古鳥が鳴く」の方の意味については、次の項で、じっくり解説していきたいと思います。
「閑古鳥」の使い方
「閑古鳥(かんこどり)」は郭公(カッコウ)を指します。
松尾芭蕉の句に、「うき我をさびしがらせよ閑古鳥」があります。
また、石川啄木の歌にも、閑古鳥を歌った短歌がいくつかあります。
これらは、「閑古鳥」を郭公(カッコウ)そのものを指して使っています。
しかし、「閑古鳥」という言葉を使うときには、鳥そのものを指すより「閑古鳥が鳴く」という成句で使うことが多いでしょう。
「閑古鳥が鳴く」とは
「閑古鳥が鳴く」とは「寂(さび)れている」「閑散(かんさん)として人がいない」「繁盛(はんじょう)していない」という意味で用います。
なぜ、郭公(かっこう)が鳴くことが、そういう意味をもつようになったのでしょうか。
1・「閑古鳥」の「閑」の字には「静か」という意味があるところから。
2・「閑古鳥(郭公)」の鳴き声が、寂しく感じられることから。
3・「閑古鳥(郭公)」の鳴き声が際立って聞こえるぐらい、周囲が静かで、森閑(しんかん)としている様子から。
おそらくこの3つの理由が複合的に作用して、こういう意味が定着したものと思われます。
使い方の注意点としては、「本来賑わっているべきなのに、そうではない」「繁盛してほしいのに、人がいない」という場面で使う言葉だという点があります。
もともと静かであるべき宗教儀式(たとえばミサや葬式)や、入院患者のいる病室などが、シーンとして静かでも「閑古鳥が鳴いている」とは言いません。
ちなみに「諌鼓鶏(かんこどり)が鳴く」が正しい表記だとする異説もありますが、話がややこしくなるのでここでは触れません。ちなみに意味は全く異なる成語です。
「閑古鳥」の類義語・同義語
まず「閑古鳥(かんこどり)」の同義語は「郭公(カッコウ)」です。
次に、「閑古鳥が鳴く」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
- 暇
- 閑散(かんさん)としている
- 閉店休業
- 寂(さび)れている
- 廃(すた)れている
- 不入り
- 人気がない
- お茶をひく
- ひとっこひとりいない
- 猫の子一匹いない
- スカスカ
- ガラガラ
- 過疎(かそ)
最後の「過疎」は「過疎ってる」という若者言葉にもなっていますね。
「閑古鳥」の対義語・反対語
まず「閑古鳥(かんこどり)」は鳥の名前ですから、対義語・反対語にあたるものはありません。
次に、「閑古鳥が鳴く」の対義語・反対語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
- 大繁盛
- 大忙し
- 猫の手も借りたい
- 満員御礼
- 賑わう
- 興隆(こうりゅう)
- 流行る(はやる)
- 書き入れ時
- 景気が良い
- 売れ行きがいい
「書き入れ時」は、取引の台帳に文字をたくさん書く必要がある商売の繁忙期を言います。お寺のお盆、神社の祭日や元旦、着付けの店なら成人式の日などが「書き入れ時」ですね。
「閑古鳥」を使った例文
「閑古鳥(かんこどり)」はどのように使うのでしょうか。以下に例文を挙げてみました。
「閑古鳥」を使った例文
- あの教授は人気がなくて、単位認定も厳しいので、大教室はいつも閑古鳥が鳴いている。
- 日曜日のランチタイムで閑古鳥が鳴いているようでは、このレストランは長くは持たないだろう。
- 郊外に大型ショッピングモールが出店したせいで、駅前商店街は閑古鳥が鳴いている。
- 「今日もメッチャ閑古鳥が鳴きまくりやな。」「その言い方、賑わってるのか寂れてるのか、分かりにくいわー。」
まとめ
以上、「閑古鳥」「閑古鳥が鳴く」の意味や用法について深掘りしてみました。
ちょっとネガティブな言葉になってしまって、郭公(カッコウ)も不運でしたね。
ともあれ、「閑古鳥が鳴く」をしっかり覚え、言い換え表現も、うまく使いこなして、表現の幅を広げていただければと思います。
この記事が少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。