「寡作(かさく)」という言葉は、ご存知でしょうか。
「寡作」は、意味は難しくはないですが「寡」の字があまり使わない文字であることと、言葉自体、それほど多用する表現でもないことから、知らない人も意外に多いのではないかと思われます。
一度確認すればなんということもない語彙ですので、この機会に「寡作」を習得してしまいましょう。
それでは、以下で「寡作」の意味や用法について深掘りしていきましょう!
「寡作」の意味・読み方
「寡作」は「かさく」と読みます。
次に意味ですが、まずは「寡作」の漢字をひとつずつ確認していきましょう。
「寡(か)」は、「ひとり」「やもめ」などの意味がありますが、ここでは「すくない」という意味です。例えば「寡聞」という言葉は見識が狭いことを言いますし、「寡黙」は口数が少ないことを言います。
「作」は「作品」のことです。
この二文字を合わせた「寡作」は、
「芸術作品などを少ししか作らない様子」
という意味です。
「寡作」の使い方
では「寡作(かさく)」はどのように使う言葉でしょうか。
「寡作」は、作る芸術作品が少ない様子を表します。丹念な作風のために僅かな作品しか作れなかったり、創作態度の厳しい作家に見られる様子だと言えます。
工業製品などの生産量が少ないこととは違います。
栽培が難しく少量しか育てられない希少な農産物などでも、やはりこの言葉は使いません。
「寡作」はあくまでも、芸術家に専属の言葉だと言えます。
画家、彫刻家、小説家、詩人、陶芸家、作曲家などに使うのがふさわしい言葉です。
「寡作」の類義語・同義語
「寡作(かさく)」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
芸術作品以外のもので、作る量・数が少ないことを表す表現の例を挙げてみましょう。
- 「限定生産」 生産量が限られていること。
- 「限定版」 最初から部数を限って作られる版のこと。
- 「品薄(しなうす)」 商品の流通量が少ないこと。
- 「希少品種(きしょうひんしゅ)」 育成が難しいなどの理由で少数しか栽培されない品種のこと。
- 「オンデマンド」 顧客からの注文に応じて、製品やサーボスを提供すること。
- 「オートクチュール」 顧客に合わせて一点ずつ作られる服のこと。オーダーメイド。
「寡作」の対義語・反対語
「寡作(かさく)」の対義語・反対語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
- 「多作(たさく)」 数多くの作品を生み出すこと。
- 「濫作(らんさく)」 内容は二の次で数だけやたら多く作ること。
- 「粗製乱造(そせいらんぞう)」 粗悪品をやたらたくさん作ること。
- 「大量生産」 製品などを多量に生産すること。
- 「量産」 大量生産の略語。
- 「横行」 世の中にはびこること。
- 「書き散らす」 無造作にどんどん書くことです。
「寡作」を使った例文
「寡作(かさく)」はどのように使うのでしょうか。以下に例文を挙げてみました。
- A先生は寡作な陶芸家で、焼き上げたもののほとんどが気に入らずに叩き壊してしまう。
- B先生は寡作な作家で、十年に一作しか新作を発表しないが、そのすべてが文学史上の事件と言われ、世界中で翻訳される。
- Cさんは寡作な作曲家で、あれで食べていけるのは大学で教えているからだ。
- D氏は寡作で有名な画家で、注文は五年待ちとも言われている。
まとめ
以上、「寡作(かさく)」の意味や用法について深掘りしてみました。
「寡作」だけではなく、「限定生産」など、さまざまな類語や対義語をうまく活用して、ぜひ表現の幅を広げていただければと思います。
この記事が少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。