「傅く」の意味と使い方をわかりやすく解説!傅く(かしずく)を使った例文も紹介

傅くの意味

傅く。この文字を見て、読みと意味を即答できる方はそう多くないのではないでしょうか。

未知の情報や事象を目にしたとき、人の脳はもっとも活性化すると聞きます。きっと知識欲が掻き立てられるのでしょうね。

「傅く」について、未知の方は情報を得るために、既知の方は復習のために、本記事をぜひお読みください。みなさんの脳活性化に役立ててくださいね!

傅くの意味と読み方

「傅く」は、「かしずく」と読む古語です。

「傅」という漢字、訓では「ふ」、音では「もり」「つく」などとも読みます。

「傅く」という古語には、以下のような意味があります。

  1. 人に仕えて守り、世話をする
  2. 子どもを大切に育てる
  3. 後見する

簡単にいえば、「そばに付き添って助ける」「人に仕えて大切に世話をする」ということですね。

「主人と執事」「社長と秘書」のような関係性において、「執事」や「秘書」などがする行為が「傅く」に該当します。目上に当たる人に使うのが一般的だといえるでしょう。

傅くの使い方

「仕える」という意味の傅く(かしずく)ですから、「尽くす」と近いニュアンスがあります。

「傅く」は古語であることから古文などでは目にしますが、現代の日常会話において頻出する言葉ではありませんので、献身的に振舞うことを文章として表したいときに使うとよいでしょう。

たとえば「豊臣秀吉は織田四天王のうちの一人として、織田信長に傅いていた」のように表します。

「傅く」を使うことで、「尽くす」や「仕える」など、口語としても通用する言葉で表現するよりも重みを感じさせることができます。

また、訓読みの「傅(ふ)」に「育」をつけると、「傅育(ふいく)」という熟語が成立します。これは、「守り育てること」「かしずき育てること」という意味で使います。

傅くの類義語・同義語

それでは、傅く(かしずく)には、どのような類義語があるか、見てみましょう。

「傅く」には数多くの類義語があります。

傅くの類義語
  • 「尽くす」
  • 「奉仕する」
  • 「献身する」
  • 「仕える」
  • 「従う」
  • 「側に控える」
  • 「身を尽くす」
  • 「身を捧げる」
  • 「身を投げ打つ」

などが、すべて「相手のために働く」という状態を持つ言葉です。

また、「近侍する(きんじする)」「奉公する」などの言葉も、「傅く」の類義語として挙げることができます。これらの言葉からは、傅くべき相手が「特定の身分の高い人」であることがうかがえます。

たとえば、江戸時代の商家に年季奉公する丁稚が傅くに相応しい相手は「主人」や「主人の子ども」といった具合です。

傅くの対義語・反対語

傅く(かしずく)には直接的な対義語がありませんので、類義語の「忠勤を励む」「忠義を尽くす」あたりから対義語を考えてみましょう。

忠勤を励む」とは「忠義を尽くして勤め仕えること。忠実に勤めるさま」を、「忠義を尽くす」とは、「主君や国家に対し真心を尽くして仕えるさま」をいいますので、その反対の意味を持つ言葉としては「不忠」「不忠誠」「不忠不孝」などが挙げられます。

これらの言葉の詳しい意味は、総じて「忠誠の気持ちを示さないこと」ですので、「傅く」の直接的な対義語とはいえないまでも、ニュアンスの近いものと判断できます。

参考程度に覚えておくとよいでしょう。

傅くを使った例文

それでは、「傅く」を使った例文を挙げてみます。

「」を使った例文
  • 弟子として師に傅く
  • その様子は、あたかも主君に傅く家臣といった趣であった
  • 高貴な姫にかしずく古風な騎士のような態度で、彼は護衛をつとめた。
    (小沢淳「ムーン・ファイアー・ストーン5 青い都の婚礼(完)」より引用)
  • お福さまは、人にかしずかれてその屋敷にいるはずだと、与之助は言った。
    (藤沢周平「蝉しぐれ」より引用)
  • 朱雀院は女三の宮がとりわけお可愛くて、大切にかしずき育てていられる。
    (田辺聖子「新源氏物語」より引用)

傅くの意味まとめ

古文の教科書でしか見ないような「傅く」についての理解を深めることができましたでしょうか。

「傅」という漢字自体、常用外であり、あまり日常で使うことはありません。

少々むずかしい漢字ではありますが、「傅く」という言葉には、「相手に尽くす」「子どもを大切に守り育てる」という忠誠心と慈愛に満ちた意味が含まれているということだけでも覚えていただければ幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。