「顕現(けんげん)」という言葉は、ご存知でしょうか。
この言葉は、日常的によく使う表現でもありませんし、特に「顕」の字は滅多に使うことのない字なので、読めない、意味が分からないという人も多いのではないでしょうか。
すぐに覚えないと困るという性質の言葉でもないかもしれませんが、せっかくのこの機会に教養として習得してしまいましょう。
それでは、以下で「顕現」の意味や用法について深掘りしていきましょう!
「顕現」の意味・読み方
「顕現」は「けんげん」と読みます。
次に意味ですが、まずは「顕現」の漢字をひとつずつ確認していきましょう。
「顕」という字には、「あきらか」「あらわれる」という意味があります。
「現」という字には、「あらわれる」「あらわす」という意味があります。
この同じような意味の漢字二文字を並べた熟語「顕現」の意味は、
「はっきりと現れること」
「明らかにあらわし示すこと」
「具体的な形をとって明らかに現れること」
です。
「顕現」の使い方
では「顕現」はどのように使う言葉でしょうか。
「顕現(けんげん)」は、かなり高尚な印象がある、硬い語感の漢語です。主に改まった文章、学術論文や文芸作品などで用いられます。
神や仏のような存在や、抽象的で目には見えない事柄が、目の前に具体的な姿をとって立ち現れることを「顕現」「顕現する」と表現します。
例えば「国体の顕現」という言葉があります。「国体(こくたい)」とは、国のあり方、国柄、統治形態というような抽象的な事柄ですが、それが具体的にはどのような形で日本人の行動様式や言葉遣いとして現れているか(顕現しているか)、ということを指しています。
「顕現」の類義語・同義語
「顕現(けんげん)」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
- 「顕示(けんじ)」 目に付きやすいようにはっきりと示すこと。
- 「露呈(ろてい)」 隠れていたものを表にさらしだすこと。
- 「露出(ろしゅつ)」 隠れていた内部がむきだしになること。
- 「具現(ぐげん)」 具体的な形をとって表すこと。
- 「現出(げんしゅつ)」 実際に現れて出ること。
他にも - 「発現(はつげん)」
- 「(出現)しゅつげん」
- 「(現前)げんぜん」
- 「立ち現れる(たちあらわれる)」
「顕現」の対義語・反対語
「顕現(けんげん)」の対義語・反対語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
明確な対義語はありませんので、対照的と思われる状況を表す表現を挙げておきます。
- 「煙幕を張る(えんまくをはる)」 はっきり見えないように妨害工作をすること。
- 「腹に収める」 心のうちにしまいこんでおくこと。
- 「闇に葬る(やみにほうむる)」 誰にも知られないような状態に隠すこと。
- 「隠匿(いんとく)」 隠すべきでない人や物を隠すこと。
- 他にも「蓋をする」「晦ます(くらます)」「忍ぶ(しのぶ)」など、隠すことを意味する表現は多数あります。
「顕現」を使った例文
「顕現(けんげん)」はどのように使うのでしょうか。以下に例文を挙げてみました。
- ヘーゲルは、ナポレオン・ボナパルトこそ世界精神の顕現であると考えた。
- 旧約聖書に描かれた大洪水は、愚かな人間に対する神の怒りの顕現である。
- ベートーヴェンの交響曲は、人類が抱きうるもっとも崇高な理想を顕現している。
- この仏像は御仏の慈悲を見事に顕現している。
- この洞窟は土地の守り神が顕現した場所として大切に祀られております。
まとめ
以上、「顕現(けんげん)」の意味や用法について深掘りしてみました。
「顕現(けんげん)」だけではなく、「露出(ろしゅつ)」や「露呈(ろてい)」など、さまざまな類語や対義語をうまく活用して、ぜひ表現の幅を広げていただければと思います。
この記事が少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。