「けしからん」という言葉は、ご存知でしょうか。
これは、ほとんどの人がよく目にしたり、耳にしたり、使っているのではないでしょうか。
よく、年配の人や、時代劇の中の人物が言ったりしています。
しかし、正確な意味や、その語源となると、ちょっと曖昧という人もいるのではないでしょうか。
ということで、以下で「けしからん」の意味や用法について深掘りしていきましょう!
「けしからん」の意味と由来
「けしからん」の意味
「けしからん」は「怪しからん」と書きます。
もともとの形は「怪しからず」です。
その意味は、
- 「怪しい。異様だ。常軌を逸している」
- 「よくない。感心できない。わるい」
- 「不法。不都合。不当」
- 「はなはだしい」
- 「並外れている。すごい」
などなど、様々あるのですが、現代語で普通に使う場合は、二番目の「よくない。感心できない。わるい」の意味で使うことがほとんどです。
「けしからん」の由来
「けしからん」の語源は「怪しからず」ですが、これは否定の形をしています。
そもそも「怪しかる(けしかる)」という言葉が怪しいという意味なのに、打消の助動詞「ず」をつけた「怪しからず」が「怪しくない」という意味にならず、逆に怪しさを強調した言葉になったのは何故でしょうか。
文法上の説明はいろいろあるようです。
そのなかに、「ず」の否定の作用が「~どころではない」という意味で強調に転じたという説があります。
今風にいうなら「怪しいなんてもんじゃないよ」という感じです。表現は否定ですが、意味は強調ですね。
「けしからん」の正しい使い方
では「けしからん」は、どのように使う言葉でしょうか。
ある行動や意見・態度などが、発言する人の考える価値観・道徳・礼儀などから外れているという場合に「けしからん」と言います。
ただ、やはり古めかしい和語なので、老人っぽい印象があります。
若い人が使うと、ちょっと軽くフザケているような印象を与えるかもしれません。
露出の激しい女性の姿などを見て「うーん、実にけしからんね」などというと、口ではいけないと言いながら、内心はまったく正反対という雰囲気になりそうです。
「けしからん」の類義語・同義語
「けしからん」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
- 「不埒極まる」言動が度を越しており許しがたい様子です。
- 「不届き極まる」道徳や法に触れることです。
- 「不届き千万」道徳や法に触れることです。
- 「罰当たりな」バチが当たればいいと思うほど親不孝だったり、神仏に対して不敬だったりすることです。
他にも、「不道徳な」や、「理不尽な」などが類似した表現として挙げられます。
「けしからん」の対義語・反対語
「けしからん」の対義語・反対語にはどのようなものがあるでしょうか。
明確に対義語といえる言葉はありませんので、対照的な表現を挙げてみましょう。
- 「感服する」 自分よりはるかに優れていると感じ入ること。
- 「感心する」 素晴らしい行為に驚き、褒めたいと思う気持ち。
- 「敬服する」 批判する余地が無いほど感心すること。
- 「脱帽する」 心から敬意を表すること。
他に類似した表現として、「良識的」、「良心的」なども挙げられます。
「けしからん」を使った例文
「けしからん」はどのように使うのでしょうか。以下に例文を挙げてみました。
- 「遊んでばかりいてロクに勉強もせずに、留年したとは、けしからん奴だ。」
- 「子供のくせに、親に向かって生意気に意見するなど、まったくけしからん。」
- 「けしからんことに、親の目を盗んで、娘が夜な夜な男たちと酒盛りをしているようだ。」
- 「年端も行かぬ小娘のくせに、ナイズバディをひけらかして男を誘惑するとは、実にけしからん。」
まとめ
以上、「けしからん」の意味や用法について深掘りしてみました。
「けしからん」だけではなく、さまざまな類語や、対義語など、うまく活用して、ぜひ表現の幅を広げていただければと思います。
この記事が少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。