「機序(きじょ)」という言葉は、ご存知でしょうか。
さほど頻繁に使われる言葉でもありませんし、出会った記憶がないという人もいると思います。
しかも、「機械」の「機」に「序」という漢字の組み合わせも、謎(?)って感じですよね。
せっかく出会ったこの機会に謎を解決してしまいましょう。
という訳で、以下では、「機序」の意味や用法について深掘りしていきましょう!
「機序」の意味と読み方
まずはじめに読み方ですが、「機序」は「きじょ」と読みます。
次に意味ですが、まずは「機序」の漢字をひとつずつ確認していきましょう。
「機」にはさまざまな意味があります。
「からくり」「しかけ」などですが、ここでは「発動・運転する仕掛け」「はたらき・作用・変化」という意味が当てはまります。
「序」にもさまざまな意味がありますが、ここでは「順序」「順序だてる」という意味です。
なので、「機序」の意味は、「ある現象(作用)が、どんな要因で生じ、またどんな要因でその後の変化が引き起こされるか、その一連のメカニズム」、「ある物事が成り立っていたり、変化していくことの背景にある仕組」となります。
「機序」の正しい使い方
では「機序(きじょ)」は、どのように使う言葉でしょうか。
「機序」はかなり難しい印象のある用語ですので、論文などの学術的な文章で主に用いられます。
小説で使うにもやや敷居が高い印象がありますし、会話中で使うのは、「え?」と聞き返される覚悟が必要ですね。
「機序」と「機構」の違い
「機序」とよく似た言葉に「機構(きこう)」があります。
二つの言葉はどう違うでしょうか。意味を比べてみましょう。
「機構」の意味は、「ひとつの組織を構成している仕組」「なんらかの目的のために作られた組織」「国や会社などが仕事をするための組立て」「機械の内部構造」などです。
「機構」がある固定した、一定の仕組を示すのに対して、「機序」は変化・発展していく流れの背景にある仕組という時間的な要素を含む点が違うと言えるでしょう。
「機序」の類義語・同義語
「機序(きじょ)」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
- 「機構」・・・上記で説明した通りの仕組や構造です。
- 「メカニズム」・・・「機序」と同じく時間的変化を伴う仕組や構造にも使えます。
- 「仕組み(しくみ)」・・・メカニズムよりも親しみやすい表現です。
- 「仕掛け(しかけ)」・・・さらに日常的な一般的な表現です。
- 「からくり」・・・メカニズムと意味は同じですが、やや古めかしい表現です。
- 「流れ」・・・機序の「変化」という点を親しみやすく表現する言葉です。
他に「原理」なども似た場面で使われます。
「機序」の対義語・反対語
「機序(きじょ)」の対義語・反対語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
「機序」には正確な対義語にあたる言葉はありません。そこで、機序、メカニズムとは対照的な意味になる表現をあげてみます。
- 「表面的に観察する」・・・原理ではなく、外側に現れたものを見て調べるということです。
- 「表情」・・・裏側にある原理ではなく、外側の視覚的印象です。
- 「現象」・・・裏側にある原理ではなく、結果として外に出てきた事柄です。
- 「統計的調査」・・・原理や機序を調べるのではなく、実際に表れ出た結果を数多く調べていくやり方です。
「機序」を使った例文
「機序(きじょ)」はどのように使うのでしょうか。以下に例文を挙げてみました。
- 当研究所では、潜函病(減圧症)や窒素酔いなどの予防、および作用機序に関する研究を行っている。
- 薬の成分が人体に作用するメカニズムを、薬理学では作用機序と称する。
- 農薬が人体にガンを発生させる発生機序が次第に明らかになる。
- 浮腫と、その発生機序との組み合わせで誤っているものはどれか、次の4つのうちから選びなさい。[5点]
まとめ
以上、「機序(きじょ)」の意味や用法について深掘りしてみました。
「機序」だけではなく、「メカニズム」や「からくり」など、さまざまな類語も、うまく活用して、ぜひ表現の幅を広げていただければと思います。
この記事が少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。