「此方」の意味と使い方を解説!「此方」を使った例文を紹介

此方

「此方」という言葉は、ご存知でしょうか。

「此」という字が、普段あまり使わないような字なので、見慣れない、読めない、という場合も多いと思いますが、読み方さえ分かってしまえば誰でも知っている言葉です。

この機会に「此方」の読み方を確認して、使い方を習得しましょう。

それでは、以下で「此方」の意味や用法について深掘りしていきましょう!

「此方」の意味・読み方

「此方」は「こちら、こなた、こっち」などと読みます。

読み方さえわかれば、意味はおのずと分かるような言葉ですが、一応は「此方」の漢字も確認しておきましょう。

」という字には「ここ」「この」「これ」という意味があります。

」という字には「方向(ほうこう)」「場所(ばしょ)」という意味があります。

この二文字を合わせて、
「こちらのほう」「自分に近い側」という意味を表しています。

「此方(こちら)」は、
方向や位置を示す基本的な和語で、意味は、

自分の側にあるとみなす方向
「話し手がいる方向」
「自分が関心を向けている方向」
「今話題になっている方向」
手前がわ
「この場所。ここ」
わたくし、わたくしども
などです。

「此方」の使い方

では「此方(こちら)」はどのように使う言葉でしょうか。

「此方(こちら)」は、やや改まった丁寧な言い方で、くだけた口語的表現では「こっち」と発音・表記します。

「こなた」は、古文に出てくるような古めかしい表現です。

「此方(こちら)」は、方向として、「そちら」「あちら」「どちら」と対比されます。(この4つをあわせて「こそあど」と呼びます。)

いずれも、方向としてだけでなく、人を示す言葉としても使われます。

「そちらさんはどちらさんで?」などという使い方が挙げられます。

古い形である「こなた」「そなた」「あなた」「どなた」も人を示しますが、とくに「あなた」「どなた」は現代の日本語表現としても現役です。

 

「此方」の類義語・同義語

「此方(こちら)」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。

 

「此方(こちら)」の類義語・同義語
  •  「こっち」 「こちら」のくだけた口語的表現です。
  • 「こなた」 「こちら」の古めかしい古語的表現です。
  • 「手前(てまえ)」 この言葉も「こちらの側」という意味ですが「こちら」と同様に「自分、わたくし」を表す言葉としても使われます。(例「手前(てまえ)生国(しょうごく)と発しますは関東にござんす」)

「此方」の対義語・反対語

「此方(こちら)」の対義語・反対語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。

「其方(そちら)」

1・「話し手が「それ」と指させる方向」
2・「話し手から見て相手がいる方向」
3・「その場所、そこ」
4・「相手を示す丁寧な言い方」

などの意味があります。

「彼方(あちら)」

1・「話し手からも相手からも遠くにある場所」
2・「遠くにある物」
3・「遠くにいる人を示す丁寧な言い方」

などの意味があります。

「何方(どちら)」

1・「定められない方向を示す語」
2・「定められない人・場所・物など」
3・「誰とも定められない人を示す丁寧な言い方」

などの意味があります。

「此方」を使った例文

「此方(こちら)」はどのように使うのでしょうか。以下に例文を挙げてみました。

 

「此方(こちら)」を使った例文
  1.  「そちらさんはどちらさんで?」「此方(こちら)は先の副将軍水戸光圀公なるぞ。頭が高い」「ははー!」
  2. あっちの都合ばっかり一方的に言いまくられて、少しは此方(こっち)の身にもなってほしいわ!
  3. 此方(こちら)のお品物は大変なお値打ち品でございます。
  4. 此方(こっち)へ来るように言われて来たんですけど、此方(こちら)が担当じゃないんですか?」「彼方(あちら)のほうへお願いします。」「たらいまわしかよ。」

まとめ

以上、「此方(こちら)」の意味や用法について深掘りしてみました。

「此方」だけではなく、さまざまな「こそあど言葉」や「手前(てまえ)」などの類語や対義語をうまく活用して、ぜひ表現の幅を広げていただければと思います。

この記事が少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。