「恒久的」の意味と使い方をわかりやすく解説!恒久的(こうきゅうてき)を使った例文を紹介

恒久的の意味

日本国憲法前文に「日本国民は、恒久の平和を念願し」とあるように、「恒久」の文字にはやや堅いイメージがありますね。

永久や永遠とはどうちがうの?具体的にどんな風に使うかな?など、疑問は尽きないのではないでしょうか。

今回は、この「恒久」に接尾語の「的」をつけた「恒久的」という言葉について掘り下げます。

この機会に、意味や使い方などをマスターして、この言葉について「恒久的」な知識を身につけましょう。

恒久的の意味

「恒久的」は「こうきゅうてき」と読みます。

「恒久的」の「恒」は「いつも変わらない」という意味が、また「久」には、「久しい(月日が長くたっている)」という意味がありますので、「恒久」の意味は、「ある状態が永く続き、変わらないこと」となります。

また「的」は、「そのような性質をもったものの意を表す」ものであり、名詞のあとにつけることにより形容動詞の語幹をつくる接尾語です。

したがって、「恒久―的」には、「いつまでもその状態が続く―さま」という意味があります。

恒久的と永続的の違い

「永続的」という言葉があります。

「永続的」とは、「ある状態が長続きするさま」を意味しますので、「恒久的」と近似する意味をもっています。では、両者の違いは何でしょうか?

 

「永続的」の「永」には、「将来にわたって時の限りがない」という意味があります。

「永」の文字が使われていることで、「永続的」という言葉には「時間的要素」が含まれていると判断できます。

これに対し、「恒久的」の「恒」には、「いつもどおりであること」「平素」「不変」などの意味があることから、「安定した状態」とのニュアンスがあります。

 

したがって、時の長さを主眼とし「未来に渡りこの状態が続く」ことを表したいときには「永続的」を、物事の状態を主眼とし「安定した状況を維持する」ことを表したいときは「恒久的」を、それぞれ使い分けることよいでしょう。

恒久的の使い方

恒久的(こうきゅうてき)は、「恒久」に接尾語「的」をつけた形容動詞です。

上述のとおり、「恒」には、「いつも変わらない」のほか、「普通」「いつもどおり」という意味合いもありますので、「いつもどおりの安定した状態が永きに渡り続く」ことを表すときに適切な言葉であるといえます。

また、「恒」には「不変」という意味合いもありますので、「変わりようのないこと」に対しての使用も可能です。

このようなことから、「永きに渡る安定を図る政策」のことは「恒久的政策」といえますし、「太陽」「水」「空気」などは、恒久的な存在といえるでしょう。

恒久的施設とは

恒久的施設とは、期限を切らずに使用することが前提となる支店・工場など、事業を行う一定の場所を指します。

国によって定義の仔細は異なりますが、非居住者や外国法人がこのような施設を所有するか否かで課税関係が決められるという、国際税務に関する重要な概念です。

 

簡単にいえば、「恒久的施設なければ課税なし」という事業所得への課税における国際的なルールであり、日本国内で外国法人が事業を行っていても、恒久的な事業所を所有していなければ、日本国内において事業所得が課せられることはない、ということです。

 

なお、恒久的施設の存在が認定されると、日本を源泉とする所得のすべてが「総合主義」による課税対象となります。

ただし、実際には、恒久的施設に帰属する国内源泉所得のみが課税対象となる「帰属主義」が採用されているため、課税対象となる所得の範囲は異なります。

恒久的の類義語・同義語

恒久的(こうきゅうてき)には、数多くの類義語が存在します。

いくつか挙げますので、それぞれの適切な使い方を考えながら読んでみてください。

恒久的の類義語・同義語
  • 不変的(ふへんてき)→ 変わらないこと
  • 永久的(えいきゅうてき)→ いつまでも変わりなく続くさま
  • 持続的(じぞくてき)→ ある状態がそのまま続くさま ある状態を保ち続けるさま
  • 久遠(くおん)→ ある事柄がいつまでも続くこと
  • 永遠(えいえん)いつまでも果てしなく続くこと 時間を超えて存在すること
  • 終古(しゅうこ)歳月のきわまりないこと 長い年月 永遠
  • 未来永劫(みらいえいごう)これから先、無限に長い年月にわたること
  • 千古不易(せんこふえき)永遠に変わらないこと

恒久的の対義語・反対語

次に、恒久的(こうきゅうてき)の反対語を挙げてみます。

「いつまでもその状態が続くさま」の反対の意味「すぐになくなってしまう」「永く続かない」などに該当する言葉には、どんなものがあるでしょうか。

恒久的の対義語・反対語
  • 過渡的(かとてき)→ ある状態から新しい状態に移る途中であるさま
  • 暫定的(ざんていてき)→ 確定するまでの間、一時的にそうしておくさま
  • 一時的(いちじてき)→ 物事が長続きしないさま 少しの間だけ
  • 刹那的(せつなてき)→ 時間が極めて短いさま
  • 瞬間(しゅんかん)→ きわめて短い時間

「過渡的」「暫定的」「一時的」は、「恒久的」の意味を「その状態にはいずれ変化や変更があるもの」としたうえでの反対語と捉えるとわかりやすいでしょう。

たとえば、「過渡的」は、「(これまではその状態が続いたが)新しい状態に移る途中」とすることができます。

また、「暫定的」は、「(これまではその状態が続いたが、今後、変更内容が)確定するまでの間、一時的にそうしておく」というように理解できます。

 

そして、「刹那的」「瞬間」は、「恒久的」を「永い時間の経過」として捉えた場合に適切な反対語といえるでしょう。

恒久的を使った例文

それでは、これまでの説明をふまえ、例文を考えてみましょう。

恒久的を使った例文
  1. 人々は恒久的平和の訪れを望んでいます。
  2. 問題の根本解決には恒久的政策を講じることが求められる。
  3. 恒久的に存在する太陽の恩恵に感謝する。

 

恒久的の意味まとめ

今回の記事はいかがでしたでしょうか。

意味のわからない言葉について調べ、そのときはわかったつもりでも、時間の経過によりあやふやな状態に戻ってしまうことはよくありますよね。

忘れないようにするためには、ただ漠然と読むのではなく、しっかりと意味や使い方を考えることが大切です。

ひとつひとつの言葉を確実に身につけ、「恒久的」な知識となるよう努めていきましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。