「救恤(きゅうじゅつ)」という言葉は、ご存知でしょうか。
「救」は「救う」「救急車」の字だから常識的に分かるとしても、「恤」の字はほとんど使用しない文字ですし、見たり触れたりすること自体初めてという人も多いのではないでしょうか。
現在では一般的に使用する語彙ではありませんが、勉強だと思って「救恤」を確認しておきましょう。
それでは、以下で「救恤」の意味や用法について深掘りしていきましょう!
「救恤」の意味・読み方
「救恤」は「きゅうじゅつ」と読みます。
次に意味ですが、まずは「救恤」の漢字をひとつずつ確認していきましょう。
「救」は「すくう」「たすける」という意味です。
「恤」は「うれえる」「とむらう」「あわれむ」などいろいろな意味がありますが、ここでは「めぐむ」「すくう」「金品を与えて救う」という意味です。
この二文字を組み合わせた熟語「救恤」は、
「困っている人を助けるためにいろいろ恵んでやること」
「困窮者・被災者などを救い恵むこと」
という意味です。
「救恤」の使い方
では「救恤(きゅうじゅつ)」はどのように使う言葉でしょうか。
「救恤」は、古めかしく、固い語感の漢語で、会話では使わず、かなり高尚な文章で使う用途に限定されます。
もっとも、かなり通じにくい語彙なので、古い文献・昔の文学作品などで稀にお目にかかる程度かもしれません。
また、被災者や生活困窮者に対して、金品などを「恵んでやる」という感覚は、現代の人権感覚にはそぐわないと思われますので、積極的にこの熟語を使うことは避けたほうがいいでしょう。
現代の人権感覚では、被災者や生活困窮者は、最低限の文化的で健康的な生活を送る権利があるのであって、その条件が欠けているからと言って誰かから「恵んでもらう」謂(いわ)れはありません。支援を受ける権利があるのです。
ですから、「救恤(きゅうじゅつ)する」のではなく、「支援する」、「救恤金」ではなく、「支援金、支援物資」と呼ぶのが適切でしょう。
「救恤」の類義語・同義語
「救恤(きゅうじゅつ)」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
- 「慈善」 困っている人にお金などを与えて援助すること。
- 「チャリティー」 慈善事業。
- 「救世」 世の中の混乱・不安などを救うことです。
- 「済度」 仏が、人間の悩みを解決してあげることです。
- 「救民」 困っている民を救うことです。
- 「支援」 窮地に立たされている人などを援助することです。
他にも以下のような例があります。
「被災者救助」
「救援」
「救済」
「救助」
「救恤」の対義語・反対語
「救恤(きゅうじゅつ)」の対義語・反対語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
「お金などを恵んで助ける」ことが「救恤(きゅうじゅつ)」ですので、反対の言葉は「お金などを恵んでもらって助けてもらう」ことになります。
- 「施しを受ける」 金品などを恵んでもらうことです。
- 「恵んでもらう」 哀れに思われて金品などを与えられることです。
- 「下賜される」 天皇・皇族から何かを貰うことです。
- 「恩賜(おんし)」 天皇からいただくことです。(例:恩賜上野動物園)
他にも、
「頂戴する」
「押し戴く(おしいただく)」
などの例があります。
「救恤」を使った例文
「救恤(きゅうじゅつ)」はどのように使うのでしょうか。以下に例文を挙げてみました。
- 哀れな民草(たみくさ)を救恤することは、われわれ慈善事業家が神から与えられた崇高な使命である。
- 「秀吉はまず朝廷の疲弊しきった経済面に貢献をはかり、貧しい公卿を救恤(きゅうじゅつ)するに努めた。」(吉川英治『新書太閤記』より)
- おりからの天候不順で作物が壊滅(かいめつ)、農民は飢饉(ききん)にあえいでいるというのに、代官は救恤の策一つ施そうとはしなかった。
まとめ
以上、「救恤(きゅうじゅつ)」の意味や用法について深掘りしてみました。
「救恤」だけではなく、「慈善」など、さまざまな類語や対義語をうまく活用して、ぜひ表現の幅を広げていただければと思います。
この記事が少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。