「満を持して(まんをじして)」という言葉は、やや古めかしい表現です。
しかも漢字を見ても、直観的に意味が浮かんでも来こない語彙なので、突然出会うと「???」となるかもしれません。
「持して」は「持って」だとして、「満」ってなんだろう、と思ってしまいませんか?
そこで、以下では、「満を持して」の意味や用法について深掘りしていきましょう!
「満を持して」の意味
「満を持して(まんをじして)」の意味は「十分に準備を整えて、最高の機会を待つ」ということです。
でも、字面(じづら)から受ける印象と、意味がすんなりつながらないですよね。
そこで、「満を持して」の漢字をひとつずつ確認したいと思います。
「満」は「みちる」
「持」は「もつ、たもつ」という意味です。
ただ、「満を持す」「満を持して」という成句の場合の「満」はすこし特殊な意味で使用されています。
弓を十分に引くと、弓の形が半円状に丸くなります。あれが「満」です。
「弓を十分に引き絞った状態を維持すること」で、つまり、いつでも獲物を確実に射ることのできる状態をキープする訳ですね。
「満を持して」の使い方
「満を持す(まんをじす)」「満を持して」は、「十分に準備を整えて、その状態を維持したまま、最高の機会(タイミング)を待つ」という意味で使います。
この意味をしっかり把握せず、なんとなく使うと、ただ「長く待ったあとで」「いよいよ」「とうとう」というニュアンスで使ってしまいがちではないでしょうか。
また「満を持して」の使い方として、「準備を整えて」という前半の意味だけで使ってしまうと、それも不適切な使い方になります。「持して」なのですから、準備が整った状態を「維持する」「維持して、時を待つ」という意味まで含めて使うのが適切です。
「満を持して登場」とは
「満を持して登場」は「準備万端に整えたうえで、最高のタイミングを見計らって登場する」ということです。
「いよいよ登場」「ついに登場」をかっこよく言い換えただけ、とは意味合いが違うので、気をつけましょう。
「満を持して」の類義語・同義語
「満を持して」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか。
同義とは言えませんが、似たような状況を示す語句を、以下にあげてみましょう。
- 「機が熟する」=条件が整う、という意味
- 「待ち構える」=状態を維持したままタイミングを待っている、という意味
- 「手ぐすね引く」=準備万端の状態で待っている、という意味
- 「爪を研ぐ」=準備万端整えて、待つ、という意味
- 「窺う」=「機会を窺う」「時を窺う」という形で使用
- 「狙う」=「機会を狙う」という形で使用
「満を持して」の対義語・反対語
「満を持して」の対義語・反対語にはどのようなものがあるでしょうか。
明確な対義語ではありませんが、対照的な状況を示す表現を、以下にあげてみましょう。
- 「拙速(せっそく)に」=早いだけで出来が悪い、やり方が稚拙(ちせつ)ということ
- 「短兵急(たんぺいきゅう)に」=「だしぬけに」「いきなり」という意味
・「性急(せいきゅう)に過ぎる」
・「準備不足」
・「矢継ぎ早に(やつぎばやに)」
・「息つく暇もなく」
・「短慮(たんりょ)」
・「軽率(けいそつ)」
・「浅はか」
などが似た状況で使える表現だと言えます。
「満を持して」を使った例文
「満を持して」はどのように使うのでしょうか。以下に例文を挙げてみました。
「満を持して」を使った例文
- 「拙速(せっそく)はいかん。気を落ち着けて、満を持すのじゃ。」
- 満を持して登場!と勇ましく宣伝していたわりに、発売された新OSがクソだったので、世界中が唖然とした。
- 高まる期待に観客席が水を打ったように静まり返る中、今夜の主役が、満を持して悠然と登壇した。
- 我々革命兵士は、森に潜み、満を持して反撃のチャンスをうかがった。
まとめ
以上、「満を持して」の意味や用法について深掘りしてみました。
何事も「満を持して」行えば、いい結果が得られそうですね。
「満を持して」や、その他の類語などを、うまく使いこなして、ぜひ表現の幅を広げていただければと思います。
この記事が少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。