「ましてや」という言葉は、普段の会話の中ではあまり使われませんが、雑誌やネットのコラムなどの文章でたまに見かけることがあるかと思います。
またシニア世代の方々は、普段の話の中で使う方もいます。
高校で習う英語では、「much less」の日本語として登場してきます。
自信をもって使っていけるように、言葉の意味や使い方を理解していってみましょう。
「ましてや」の使い方
「ましてや」という言葉は、
2つの例をあげて比較し、「1つ目にあげた例ですらこうなのだから、2つ目の例は当然こうである」と、絶対にできないこと、しなければいけないこと、大変であること等を強調して伝える時
に使います。
「なんでも知っている」と思われても困るということの表現として、
「Aさんですら知らないのに、ましてや私が知っているはずがない」
というように使います。
また、あがり症の人の緊張しやすい状況を強調する表現として、
「僕はあがり症だから会議の場で発言するのは苦手だ。ましてやプレゼンなど、とんでもない」
と使います。
「ましてや」のよくある間違った使い方
「ましてや」のよくある間違いとしては、
何かと比較せずに単独で使われる場合がよくあります。
- まだ好き嫌いするのか。ましてや君は先生なんだろ。
- 社会保障費は増大し続けますし、ましてや不景気な状況も続いていますから。
「ましてや」は本来、2つの例をあげて、前述と後述の事例を比較し、後述を強調して伝える時に使います。
「ましてや」を使った例文
「ましてや」はどのように使うのでしょうか。以下に例文を挙げてみました。
- 泳ぐのは苦手だ。ましてや冬に泳ぐのなんかとんでもない。
- 犬を触ることなんてできない。ましてや頭を撫でるなんて無理だ。
- 車を買う余裕なんてない。ましてや新車なんかは絶対に買えない。
- お父さんが知らないのだから、ましてや私が知っているはずはない。
- 今は子供が中学生と高校生だから節約が必要だ。ましてや来年は受験の年だ。
- クレーム処理は迅速にしなければいけない。ましてや相手が怒鳴り込んできているのならなおさらだ。
- 噂話をしないようにするのは大変だ。ましてや恋についてのことなら余計に難しい。
- ここで子供の手を放してしまうなど考えられない。ましてやこの子はまだ3才だ。
- アルコールは全然だめでビールも飲めない。ましてやウイスキーなど絶対に飲めない。
「ましてや」を使ったツイート
「ましてや」を使ったツイートをご紹介します。
子は小学生だと言うと、もう手がかからないねとか、子が大きいので残業も当然できると認識されてしまうの納得いかない。ましてや時短やリモート希望はなぜ?と言う感じで、こちらこそなぜそう思う?と聞きたい。親としては、子が元気ならいい、という最低限の生活をしたい訳じゃないのです。
— shiho×× (@shiho_icebox) 2018年6月24日
ミュージカルって一括りで言うけどそこには演技・歌・ダンスがあって、それを一人でこなす三拍子揃った人(triple threadと言うらしい)は稀なの。ましてや、それを人に教えるって本来かなりの特殊技能なんだよ。総務だからって経理と人事とシステム管理できるのかい?教えられるの?そういうこと。以上
— Hitoshi Piccolo Kobayashi (@musicalvocal) 2018年6月21日
舞台にあがってユチョンのそばでファンを喜ばすような面白いこと言えるファンの方々、毎回見てて凄いなぁ〜って思う。私、絶対ムリムリだもん。ユチョンの近くにいるのも超絶恥ずかしいし、ましてや数千人の前でだなんて死む、絶対に死む。
— 江戸川るん子 (@edo_runko) 2018年6月27日
「ましてや」の類義語・同義語
「ましてや」と似た言葉としては、「いわんや」や「~は言うまでもない」があります。
- いわんや
- 〜は言うまでもない
・「いわんや」は、この件については言うまでもなく、わかりきったことという意味です。
古文ではよく使われていた言葉で、現在では使われることは殆どありません。
・「~は言うまでもない」は、あれこれ言う必要などないわかりきった状態であること表す言葉です。
「ましてや」は絶対にできないことや、しなければならないこと、大変なことだと感じる気持ちを表すのに対して、「~は言うまでもない」は、気持ちだけでなく状態そのものも表す言葉です。
また「ましてや」では嬉しいことや楽しいことなど良いイメージについて強調する気持ちの表現には用いませんが、「~は言うまでもない」は良いイメージについても用います。
まとめ
「ましてや」という言葉を、シニアの方々が用いるのに比べて若い世代があまり用いないのは、様々な言葉や文を短縮して、スピーディーに話したい、という気持ちの表れかもしれません。
そしてこの言葉に対しての「硬さ」や「まどろっこしさ」を感じているからかもしれませんね。
日本語の良さは、非常にたくさんの細かな言葉があることで、具体的に、細やかに、こだわった伝え方ができることです。
「ましてや」は、切実で断定的な気持ちを相手に伝える時に、大変効果的に伝わる言葉だと言えます。
様々な表現を知り使い分けられた方が、色々な世代やタイプの人達とのコミュニケーションがスムーズになります。ぜひ、色々な言葉やその使い方を知っていってください。