「人非人(にんぴにん)」という言葉は、ご存知でしょうか。
使われている漢字はやさしい漢字ばかりですが、こう配列されると、なんだか見慣れない顔文字のようだ、としか思えない人もいるかも知れません。
いまどきあまり使わない表現ではありますが、昔の文章などにはしばしば登場する語彙でもありますので、ここで出会った機会に、「人非人」を習得してしまいましょう。
それでは、以下で「人非人」の意味や用法について深掘りしていきましょう!
「人非人」の意味・読み方
「人非人」は「にんぴにん」と読みます。
次に意味ですが、まずは「人非人」の漢字をひとつずつ確認していきましょう。
「人」は「ひと」です。
「非」は、「あらず」で、否定を表す文字です。
「非人」は、「人間ではない」という意味。「死体」という意味もあります。また「かたわ。身体の不完全な人」という意味もあります。
「人非人」は、文字通りには「人でありながら人でない」ことを意味します。
熟語の意味は、
「どんな理由であれ、人として絶対にしてはいけないようなことをする人」
「人の道に外れたことをする人」
「ひとでなし」
です。
「人非人」の使い方
では「人非人(にんぴにん)」はどのように使う言葉でしょうか。
「人非人」は、やや古めかしい語感の漢語なので、主に文章中で用います。
会話であれば「ひとでなし」と言ったほうが通りがよく、こちらがよく使われます。
では「人非人」と「非人」との違いはなんでしょうか?
「非人」は、もともとは仏典で「人間でないもの」という意味で使われましたが、その後、乞食や罪人などを卑しめていう言葉となり、「穢多・非人(えた・ひにん)」として、身分制度の最下層の人を名指す差別的な表現になりました。
「人非人」は一般的な人の行動や考えについて、人の道に外れたことを批判する表現で、差別的ではありません。
「人非人」の類義語・同義語
「人非人(にんぴにん)」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
- 「ひとでなし」 人でありながら、人間らしい恩義や人情を理解しない人
- 「けだもの」 不人情な人やろくでもないひとを罵っていう言葉
- 「犬畜生」 人を犬になぞらえて罵っていう言葉です。「犬畜生にも劣る」という表現がよく使われます
- 「人間の屑」 ゴミのように無価値な人という侮蔑的な言葉
- 「ろくでなし」 何の役にも立たない、しようのない人
「人非人」の対義語・反対語
「人非人(にんぴにん)」の対義語・反対語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
- 「聖人君子(せいじんくんし)」 知や徳のすぐれた理想的な人物
- 「人格者(じんかくしゃ)」 りっぱな人格を備えて、人々の模範となるような人
- 「賢人(けんじん)」 洞察力にすぐれて、行為が道理になかっており、人々から仰ぎ見られる存在
- 「義人(ぎじん)」 己の利害を顧みず、正しいと思うことを行う人
「人非人」を使った例文
「人非人(にんぴにん)」はどのように使うのでしょうか。以下に例文を挙げてみました。
- これだけ過労死する労働者が続出しているなか、過労死レベルの残業時間を合法にしようとするのか、この人非人めが!
- 豪雨で気象庁が最大限の警戒を呼びかけている最中にのんびり飲み会か、この人非人めらが!
- 熱中症でこれだけ人が倒れたり死んだりしている状況で、外で活動をやらせて生徒の生命を危険に晒すなんて、お前は人非人か!
- 何人もの人を殺して埋めた、血も涙もない人非人。
まとめ
以上、「人非人(にんぴにん)」の意味や用法について深掘りしてみました。
「人非人」だけではなく、「ひとでなし」や「犬畜生」など、さまざまな類語や対義語をうまく活用して、ぜひ表現の幅を広げていただければと思います。
この記事が少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。