「野放図(のほうず)」という言葉は、ご存知でしょうか。
ひとつひとつの漢字は難しくないものの、この三つの文字が合わさって一体何を意味するのか、ちょっと分からないという場合も多いのではないでしょうか。
たしかに語源は少々ややこしいですが、意味は分かってしまえば何も難しくないので、ここでしっかり習得してしまいましょう。
それでは、以下で「野放図」の意味や用法について深掘りしていきましょう!
「野放図」の意味・読み方
「野放図」は「のほうず」と読みます。
次に意味を確認していきましょう。
「野放図」という熟語には、
1.「横柄な様」「ずうずうしい様」と人柄を表す意味
2.「際限がない様」「しまりがない様」と、ものごとの性質を表す意味
の大きく二つの意味合いがあります。
広辞苑には「野方図」「野放途」という二種類の表記が挙げられていますが、他の辞書では「野放図」の表記も出てきます。
語源的には
「方図」という言葉が、
「ものごとの限度」「さだめ」「かぎり」
「範囲」「際限」という意味を持っているので、
その「方図」が「野」の状態である、ということだと思われます。
「野」の状態とは
「自然のまま」「文化的でなく、未開の」「したがわない」などの意味です。
ですので、
人柄についての「方図」が「野」であれば「横柄」「図々しい」となり、
ものごとの性質についての「方図」が「野」であれば「際限ない」「しまりない」という意味になるものと思われます。
「野放図」の使い方
では「野放図(のほうず)」はどのように使う言葉でしょうか。
意味の項目で見たように、用法としてかなり広がりのある言葉ですので、どのような意味で使われているかは文脈から判断する必要があります。
例えば、「野放図な人」「野放図な性格」と書かれていれば「横柄」なのか「だらしない」「しまりない」なのかは、他の部分との関係をみないと決められません。
「野放図な暮らし」「野放図な経営」であれば、「しまりない」「だらしない」だと考えることが出来ます。
「野放図」の類義語・同義語
「野放図(のほうず)」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
- 「勝手気まま」 自分ひとりの考えで行動し、ルールなどをないがしろにする様子
- 「だらしない」 のぞましい秩序がみられない様子
- 「横柄(おうへい)」 偉そうな態度で、無礼な様子
- 「傍若無人(ぼうじゃくぶじん)」 そばにいる人に遠慮せず勝手に振る舞う様子
- 「わがまま」 なんでも自分の思い通りにしようとしてはた迷惑な様子
- 「青天井」 支出に上限を定めない様子
- 「湯水のごとく」 惜しげもなく無闇に費やす様子
- 「放漫(ほうまん)」 でたらめで締まりのない様子(例:放漫経営)
「野放図」の対義語・反対語
「野放図(のほうず)」の対義語・反対語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
- 「謙虚(けんきょ)」 人の意見に耳を傾け、自己主張を控える態度
- 「慎ましやか」 謙虚に振る舞う様子
- 「品行方正」 道徳的に見て行いがきちんとしている様子
- 「堅実」 安全第一をむねとして、手堅く行動する様子
- 「地道」 はったりなどなく堅実に、着実に、こつこつと物事を行う様子
- 「確実」 失敗や間違いなどがない様子
- 「手堅い」 地道に事を進める様子
他に、
「計画的」
「きっちり」
など。
「野放図」を使った例文
「野放図(のほうず)」はどのように使うのでしょうか。以下に例文を挙げてみました。
- A社はワンマン社長の野放図な経営方針が災いして、あっというまには経営破綻した。
- 若い娘だというのに部屋に鍵もかけない野放図な生活ぶりは、傍目にもあぶなっかしい。
- 闇金融からの野放図な請求に泣き寝入りする必要はありません。ぜひ我が法律事務所にご相談ください。
- 部屋に野放図な笑い声が響いて、奴が入ってきたのがわかり、誰もが背中を丸めて気配を消した。
まとめ
以上、「野放図(のほうず)」の意味や用法について深掘りしてみました。
「野放図」だけではなく、「横柄」や「しまりない」など、さまざまな類語や対義語をうまく活用して、ぜひ表現の幅を広げていただければと思います。
この記事が少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。