「寂寥感」の意味と使い方を解説!「寂寥感に苛まれる」例文付きで紹介

寂寥感

「寂寥感(せきりょうかん)」は使用する漢字も難しいですし、特に二文字目の「寥」は使用頻度も低い字ですので、読めるけど、でも書けない、という人が多いのではないでしょうか。

「寂」の字から語句の意味はつかめても、どういう場合に使ったらいいのでしょうか。

そこで、以下では「寂寥感」の意味や用法について深掘りしていきましょう!

「寂寥感」の意味と読み方

寂寥感の意味と読み方

「寂寥感」の読み方ですが、「せきりょうかん」と読みます。

「寂寥感」の意味

それでは、寂寥感の意味を一文字ずつ確認してみましょう。

「寂」は、「さびしい」という意味ですね。

「寥」には複数の意味があり、「寂しい」「虚しい」「しずか」「奥深くて広い」などです。

「感」は、「そのような感じ」という意味です。

なので字義通りに捉えると、「寂寥感」は「寂しく虚しい感じ」という意味になります。

一文字目も二文字目も、どちらも同じように「寂しい」という意味が込められた言葉になりますので、より寂しいことを表現する際に使うことができる言葉と言えますね。

特に二文字目の「寥」の字には複数の意味が作用して、この言葉の深いニュアンスを生んでいるように思われます。

物悲しく、わびしく、どこか虚しいような、しんと静まり返ったような感じです。

「寂寥感」の正しい使い方

寂寥感の正しい使い方

「寂寥感」はかなり硬い印象をもつ語なので、もっぱら文章中で用います

特に、格調高い文学作品などに似合う語です。

「淋(さみ)しさが漂う」を「寂寥感(せきりょうかん)が漂う」に置き換えただけで、なんだか、一気に文学性が高まったような気さえしますね。

ただし、それほど嫌味なほどに難解な言葉ではないので、くだけた文章や、会話中で使っても、逆に面白い効果(異化効果と言います)を上げることが出来ます。

「え? ナニこの寂寥感!?」というような使い方をしても楽しいですね。

「寂寥感」を使った例文と解説

寂寥感を使った例文

「寂寥感(せきりょうかん)」は実際どのように使うのでしょうか。「寂寥感が漂う」、「寂寥感に襲われる」、「寂寥感に苛まれる」という3つのパターンについて、以下に例文を挙げてみました。

「寂寥感に苛まれる」の意味とは

寂寥感に苛まれる

「寂寥感(せきりょうかん)に苛(さいな)まれる」という言葉の意味を例文を使って解説します。

「寂寥感に苛まれる」を使った例文
都会にはこんなにたくさん人間が住んでいるのに、その中に心から信頼できる、親しいといえる人が一人もいないと思うと、彼は深い寂寥感に苛まれた

まずは「寂寥感」の意味は、「物悲しく・わびしく・どこか虚しいような・しんと静まり返ったような感じ」という意味でした。

この「寂寥感」に「苛まれる」という言葉が合わさるとどういう意味になるのでしょうか。

苛まれる」という言葉は、マ行五段活用の動詞「苛む」の未然形である「苛ま」に、受身・尊敬・自発・可能の助動詞「れる」が付いた形です。要するに「苛まれる」は「苛む」の受け身形です

「苛む」の活用には多様な意味があります。

「苛む」の意味
  • 苦しめ悩ます
  • しかる
  • せめる
  • むごくあたる
  • いじめる
  • せっかんする

参考:「苛まれる」の意味と使い方を解説!「苛まれる」を使った例文を紹介

今回の例文で使用されている「苛まれる」は一番最初の「苦しめ悩ます」の意味が当てはまります。

よって「寂寥感に苛まれる」という言葉は「寂しい思いに苦しめられる」という意味になります。

頼れる人間が身近にいなくて、「心寂しい思いでいっぱいで苦しんでいる」ということです。

「苛まれる」の場合は淋しさそれ自体よりも、寂しくて「辛い」という感情の方に力点が置かれている印象を受けます。

「寂寥感が漂う」の意味とは

「寂寥感が漂う」を使った例文
最初から最後まで、画面に一種独特の寂寥感が漂う、感銘深い映画だった。

「漂う」という場合は、ある場所や、場面、その場の空気全体が寂しい感じ、という意味で使用します。

そのため「わたしに寂寥感が漂っている」では、使い方として変です。

「寂寥感に襲われる」の意味とは

「寂寥感に襲われる」を使った例文
事故で家族をいっぺんに失って、葬儀のバタバタもすぎ、さて一人きりになってみると、途端に激しい寂寥感に襲われた。

「襲われる」という表現は、淋しさが急にやって来る場合に使うのがふさわしいでしょう。

「寂寥感」の類義語・同義語

寂寥感の類義語

では「寂寥感(せきりょうかん)」の類義語・同義語には、どのような言葉があるでしょうか。

寂寞」これも高級感のある文章語で「せきばく」とも「じゃくまく」とも読みます。

「寞」の字は、これも「さびしい」「ひっそり」「しずか」という意味です。

他にも下記のような言葉が同義語にあげられます。

「寂寥感」の類義語・同義語
  • 寂しい
  • 淋しい
  • 孤独感
  • 哀愁
  • 憂愁
  • 物悲しい
  • 憂い
  • 愁い

それぞれ、ニュアンスや強度が違いますので、場面に応じて使い分けができると、表現力が格段にUPしますね。

「寂寥感」の対義語・反対語

寂寥感の対義語

では、「寂寥感(せきりょうかん)」の対義語・反対語にはどのようなものがあるでしょうか。

「さびしい」の反対を普通に考えてみると「さびしくない」ですが、さびしくない状況を表す言葉、意外と難しいかもしれません。

「孤独」に置き換えてみても、その反対語は「孤独じゃない」としか言いようがありません。

似たようなニュアンスを言葉を探してみると、下記の言葉などがあげられるでしょう。

「寂寥感」の対義語・反対語
  • 充実感
  • 連帯感
  • 安心感
  • 仲間意識
  • 賑やか
  • うららか

まとめ

寂寥感のまとめ

「寂寥感(せきりょうかん)」の意味や用法について深掘りしてみました。

「寂寥感」「孤独感」になぜ反対語がないのか。深い問題です。

人間は本質的に孤独だから、その反対語がないという議論もありますが、逆に、孤独、淋しさが特殊状況だからこそ、名前がついたのであり、その逆の状況はあまりに自然すぎて名付ける必要を感じなかった、のかもしれませんね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。