「斥候(せっこう)」という言葉は、ご存知でしょうか。
戦争映画や、ミリタリー関連、戦争小説などを好きな人にとっては常識とも言えるこの言葉ですが、そうでもなければ、出会ったこともない、ということもありそうです。
しかし、やはり知っておいて損はない言葉ですので、この機会にちゃちゃっと覚えてしまいましょう。
それでは、以下で「斥候」の意味や用法について深掘りしていきましょう!
「斥候」の意味・読み方
「斥候」は「せっこう」と読みます。
次に意味ですが、まずは「斥候」の漢字をひとつずつ確認していきましょう。
「斥」は単独では「セキ」と読み、「しりぞける」という意味でよく使います(排斥など)が、ここでは「うかがう、様子を探る」という意味です。
「候」は様々な意味がありますが、ここでは「うかがう、さぐる」「ものみ」という意味です。
つまり「斥候」は、似た漢字を二つ並べた熟語で、
「こっそり敵状を探る兵士」
「敵状・地形などを偵察するため、部隊から派遣する少数の兵士」
を指します。
「斥候」の使い方
このように「斥候(せっこう)」は、完全に軍事用語、軍隊用語ですので、そういうジャンルでしかほとんど使わないと言えます。
しかし、「偵察部隊」という意味で、比喩として使う例もないではありません。
もっとも、日常会話の中で「斥候」と言っても通じない可能性も高いので、「偵察隊」などと適宜言い換えたほうが無難でしょう。
もちろん、軍事小説などを書く場合には、読者層も当然、「斥候」は理解していると言えるので、遠慮せず使えます。
「斥候」の類義語・同義語
「斥候(せっこう)」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
- 斥兵(せきへい)
=漢和辞典には「斥候」の同義語として記載がありますが、日本語としてはあまり使われていないようです。 - 物見(ものみ)、物見番(ものみばん)
=これは、「敵の様子を見張る役」という意味 - 前哨(ぜんしょう) =本隊の前に警戒のために配備する部隊
- 哨戒(しょうかい) =敵に備えて、見張り警戒すること
- 偵察(ていさつ) =ひそかに敵の様子を探ること
- 内偵(ないてい) =ひそかに探ること
- 尖兵(せんぺい) =部隊の先頭で、敵の警戒・捜索にあたる小部隊
「斥候」の対義語・反対語
「斥候(せっこう)」の対義語・反対語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
言葉の性質上、明確に対義語といえる言葉はありませんので、対照的な表現をあげてみます。
- 本隊 =斥候による偵察の結果、移動の安全が確認できた上で大規模な本隊が移動・侵攻を開始する
- 主力部隊 =「本隊」とほぼ同じように使用する語句
- 後衛 =退却の際、本隊の後ろで掩護する部隊
「斥候」を使った例文
「斥候(せっこう)」はどのように使うのでしょうか。以下に例文を挙げてみました。
- 「虻と蚋とは自然の斥候のようにもやもやと飛び廻った。 」(有島武郎「カインの末裔」から。これは比喩的な用例です)
- 敵の兵力を偵察するため、斥候を出す。
- 斥候を出して、敵地の地形を偵察し、作戦計画を練る。
- 祖父は戦争中、大陸で、斥候に出て敵に捕まり、そのまま捕虜となってしまった。
まとめ
以上、「斥候」の意味や用法について深掘りしてみました。
「斥候」だけではなく、「前哨」「尖兵」など、さまざまな類語や対義語もうまく活用して、ぜひ表現の幅を広げていただければと思います。
この記事が少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。