「宿痾」という言葉は、ご存知でしょうか。
「宿」はいいけれど、「痾」は意味不明という人も多いのではないでしょうか。
確かにほとんど使うことのない漢字ですし、読めたとしても、書くのはなかなか厳しいという熟語かもしれません。
しかし文学作品等では、ときおり遭遇する表現ですし、せっかく出会ったこの機会に「宿痾」をマスターしても無駄ではありません。
それでは、以下で「宿痾」の意味や用法について深掘りしていきましょう!
「宿痾」の意味・読み方
「宿痾」は「しゅくあ」と読みます。
次に意味ですが、まずは「宿痾」の漢字をひとつずつ確認していきましょう。
「宿」は当然「やど」ですが「やどる」「やどす」という意味の他に「前夜からの」「以前からの」という意味もあります。
「痾」は「やまい、病気」という意味です。
この二文字を組み合わせた熟語「宿痾」の意味は、
「ずっと前からの持病」「長い間治らない病気」
です。
「病気」という意味の「痾」という文字は、ほとんどこの「宿痾」という熟語でしか使いません。コストパフォーマンスの悪い文字とも言えますが、使えると教養の度合いがアップしますね。
「宿痾」の使い方
では「宿痾(しゅくあ)」は実際、どのように使う言葉なのでしょうか。
そもそもの意味である「長い間治らない病気」を表す言葉としては「持病」という言葉が一般的で、ほとんどそれで間に合います。
「宿痾」はかなり難易度の高い語彙なので、高尚な文章などで比喩的に使われることが多いです。
たとえば「巨大企業の宿痾」「現代文明の抱えた宿痾」などと使います。長年抱えた解決の難しい問題点ということです。これを「持病」に置き換えるとちょっと間抜けな感じになってしまします。
「宿痾」の類義語・同義語
「宿痾(しゅくあ)」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
「持病」 ずっと持ち続けている病気です。
「慢性疾患」 持病の医学的な名称です。
「痼疾(こしつ)」 「持病」の古風な表現です。
「長患い」 長い間患っている病気です。
「長病み」 長く続いている病気です。
比喩的な意味の類似表現としては、
「構造的な欠陥」
「大企業病」
「組織の動脈硬化」
などが挙げられます。
「宿痾」の対義語・反対語
「宿痾(しゅくあ)」の対義語・反対語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
言葉の性質上、明確な対義語はありませんので、対照的な状況を示す表現を挙げます。
一過性の病気を示す語として以下があります。
「流行り病」
「伝染病」
病気からの回復を表す語彙として以下が挙げられます。
「治癒する」
「回復する」
「癒やす」
「全快する」
比喩的な「長年続く問題点」と対照的な表現として以下があります。
「長年の蓄積」
「長年の経験」
「積み上げてきた」
「亀の甲より年の功」
「宿痾」を使った例文
「宿痾(しゅくあ)」はどのように使うのでしょうか。以下に例文を挙げてみました。
- 大企業に特有の宿痾が我が社の中枢を蝕んでいた。
- 腱鞘炎はピアニストが抱えやすい宿痾のようなものだ。
- 一念発起して風俗店に行ったが、宿痾の女性コンプレックスはひどくなるばかりだった。
- 彼女は宿痾である極度の人見知りをなんとか克服しようと焦っていた。
- 宗教こそが人類最大の宿痾だ。
まとめ
以上、「宿痾(しゅくあ)」の意味や用法について深掘りしてみました。
「宿痾」だけではなく、「持病」や「痼疾」など、さまざまな類語・対義語をうまく活用して、ぜひ表現の幅を広げていただければと思います。
この記事が少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。