「相対的」の意味をわかりやすく解説!「絶対的」との違い

相対的

「相対的」という言葉は、文章中でも会話中でも頻繁に使われる、とても重要な言葉です。

しかし、なんとなく意味はわかっているものの、きちんと説明せよと言われると、意外と曖昧になってしまうかもしれません。

「相対的」のような重要語彙については、曖昧なまま放置せず、きちんと深掘りして、正しく使いこなせて、バシッと説明も出来るようにしたいですね。

それでは以下で、「相対的」の意味や用法について、深掘りしていきましょう!

「相対的」の意味

「相対的」という言葉は、

  1. 物事が他との関係性・比較において、そうである様子。
  2. 物事が、ある一定の状況のもとでのみ妥当である様子。
と、2つの意味で使われます。

1.の意味は、Aという項目が、あるものごとの集団・集合の中でしめている位置や、特徴を示します

MEMO

例えば、A君の背の高さは家族の中では一番高いが、所属するバスケットチームの中では一番低いとします。

この場合、

比較する集団が家族」の場合、「A君は相対的に背が高い」と言えます

比較する集団がバスケットチーム」の場合、「A君は相対的に背が低い」と言えます

2.の意味では、例えば「人の生命を尊重する」ことは基本的人権として重要ですが、これを腹をへらしたライオンに対して主張しても意味はありません。

人命の価値も、人間にとっては絶対的でも、野生動物を含めた生命全体にとっては、相対的な価値にすぎないと言えるでしょう。

「相対的」の反対語・対義語

「相対的」の反対語は「絶対的」です。

「相対的」で例に上げたA君の身長ですが、「A君の身長は182cmだ」という場合は、他との比較ではなく、A君単独で評価した高さなので、これは「絶対的」な高さについて述べているといえます。

このように「絶対的」で表現される性質は、他との比較ではなく、それ自体単独で成立する性質だと言えます。

また「絶対的」という場合は、「他に比べるものがない」「同等に並ぶものがない」「すべてを超越している」という「優れている」という意味で用いられる場合もあります。

対義語「絶対的」との違い

「絶対的」はそれ自体、単独で成立しますが、「相対的」は他との関係のなかで成り立ちます。

「相対的」の「相対」は「相=お互いに」「対=向かい合う」ということですので、相手があってはじめて成り立つということが漢字一文字ずつの意味からも理解できます。

「相対的に優れている」「相対的に劣っている」などという場合には、必ず、そのもの自体と比較対照する別のものが想定されているわけですね。

逆に「絶対的に優れている」という場合は、他と比較しているわけではなく、それ自体を単独で評価していることになります。

「相対的」の正しい使い方

「相対的」は、比較する対象がはっきりしている場合に用いるのがふさわしい言葉です。

詳しくは類義語の項でご説明します。

ここでは、「相対的」の使い方を具体的に見ていきましょう。

「相対的」は「絶対的」と対にして覚えると分かりやすいです。

相対評価と絶対評価
学校での生徒の成績評価にはこの二種類があります。

相対評価は、学級や学年といった母集団の中でその生徒の成績がどこに位置づけられるか、を評価基準とします。

逆に絶対評価という場合は、他の生徒との比較ではなく、その生徒自身がどの程度のレベルに到達したかを単独で評価します。

(通知表の5段階評価は、かつては相対評価でしたが、今現在は絶対評価です。ご存知でしたか?)

方向と方角
「右」「左」「前」「後ろ」「上」「下」などという方向は、その方向の基準となる人がどちらを向いているかで、実際にどの方角を指すかは変わってきますので「相対的」と言えます。

反対に「東」「西」「南」「北」といった方角は、その人がどちらを向いていようが関係なく決まっていますので「絶対的」と言えます。

相対音程と絶対音程
「絶対音感」という言葉を聞いたことがあると思います。

では「相対音感」はご存知でしょうか。その意味はどう違うでしょう?

例えば「A = 440 Hz(周波数)」 という単独の音の音高を認識・識別できるのが絶対音感です。

それに対して、相対音感とは、二つの音が作り出す音程を認識・識別する能力です。

「ドとミ」「ファとラ」「ソとシ」などはそれぞれ長三度の音程であり、相対的な音程は等しいということが分かるのが相対音感です。

「相対的」の類義語

「相対的」の類義語としては「比較的」が挙げられます。

「相対的」は他と比較して評価する表現ですから、まさに「比較的」「比較して」は近い意味の表現です。

もっとくだけた言い回しとしては、「わりと」「わりかし」「わりに」なども近い意味だと言えるでしょう。

「どちらかといえば……のほうが」のような言い方も、近いニュアンスだと言えるでしょう。

「相対的」はかっちりした硬い表現なので、比較考量する対象も明確で客観的である場合などに使うのが自然でしょう。

なんとなく気分で判断するような場合には「わりと」「どちらかといえば」のほうがふさわしい場合もあります。

「相対的」を使った例文

「相対的」はどのように使うのでしょうか。以下に例文を挙げてみました。

「相対的」を使った例文
  1. この家を建てた時は、それは立派な屋敷だったのに、その後、まわりにもっとすごい豪邸が建ってしまったので、相対的に貧相な印象になってしまった。
  2. 日本でいくら貧しいと言っても生活保護を受ければ生きていけるので、インドやアフリカでこどもが次々と餓死していく絶対的貧困に比べれば、相対的な貧困に過ぎない。
  3. この商品も安物ではあるが、他社の類似品に比べれば相対的にマシな品物だ。
  4. ライバル社の不祥事のお陰で、当社の信頼性が相対的に上昇している。シメシメ。

まとめ

以上、「相対的」の意味や、反対語、類義語、用法などについて深掘りしました。

「絶対的」と合わせて理解すれば、もう忘れることはないのではないでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。