「垂涎」の意味と使い方を解説!「垂涎」の例文を紹介

垂涎

目にしたことはあるけれど、意味や使い方を問われたときに答えが出てこない!

そのような経験、きっと多くの方にあるのではないでしょうか。「垂涎」は、まさに「見たことはあるけれどよくわからない!」の代表格のような存在といえるでしょう。

本記事では、この「垂涎」について、意味や使い方、反対語などを解説していきます。正しく学び、漢字博士として「垂涎の的」になることを目指していきましょう。

「垂涎」の意味

「垂涎」は、「すいぜん」と読みます。
昨今では、「すいえん」と読む方も増えてきているようですが、これは本来、誤読です。

いわゆる「慣用読み」というもので、「正式な読み方以外によく用いられる読み方」、すなわち時代の流れによる誤読が増え、常用化された読み方です。

垂涎
「垂」には、「たれる」「たらす」「たれさがる」の意味があり、
「涎」は文字どおり「よだれ」「つばき」という意味の漢字です。

垂涎」には、以下二つの意味があります。

  1. よだれをたらすこと
  2. ある物を欲しいと強く希望すること

空腹のときに美味しそうな食べ物を見ると、口の中に唾が湧いてきますよね。「垂涎」には、「よだれを垂らすほど欲しい」という意味があります。

使われている漢字やその意味の反し、「垂涎」を食べ物に対して使う頻度はそれほど高くありません。食べ物そのものに対しては「喉が鳴る」が適切です。

「垂涎」の使い方

「よだれを垂らすほど欲しい」とは、どのような状況でしょうか。

誰も欲しい物はあると思いますが、たとえば、「洗剤が残り少なくなっているので欲しい」という状況は、生活必需品を補う行為にすぎませんので、「垂涎」には該当しません

「垂涎」は、ある特定の層に需要のある物、かつ希少価値の高い物に対して使うことが適切だといえるでしょう。

MEMO
たとえば、史学者であれば歴史的価値の高い古文書、古銭マニアであれば旧硬貨などが「よだれを垂らすほど欲しい」対象となります。

「垂涎」の類義語・同義語

「垂涎」という言葉の持つ意味「よだれを垂らすほど欲しい」に類似する表現としては、「喉から手が出る」や「生唾を飲み込む」などがあります。

「喉から手が出る」の意味は、「欲しいと思う気持ちを抑えられないことのたとえ」です。また「生唾を飲み込む」は、「目の前にあるものが欲しくてたまらなくなる」ことです。

欲しい物があることのたとえに、「口」に関連する言葉が多いことも興味深いところですね。

「垂涎」の対義語・反対語

垂涎」に、直接的な対義語や反対語は存在しません

「垂涎」の意味「よだれを垂らすほど欲しい」から展開していくと、「ものすごく欲しい」→「渇望」あるいは「渇求」あたりが近い意味を含む言葉といえるでしょうか。

「渇望(かつぼう)」「渇求(かっきゅう)」には、いずれも「喉のかわいた人が水をほしがるように、心から願望すること」という意味があります。

「渇望」の対義語としては、「堪能(たんのう)」が挙げられます。「堪能」には、「十分に満足すること」「気が済むこと」「納得すること」の意味があります。

「垂涎の対義語候補」程度のニュアンスで捉えるとよいでしょう。

「垂涎」を使った例文

「垂涎」を使った文章を、いくつか挙げてみます。「垂涎」の意味を咀嚼しながら見てみましょう。

「垂涎」を使った例文
  1. 東京オリンピック記念切手は、当時の切手収集家の垂涎の的だった。
  2. ショーウィンドウに飾られたダイヤモンドの指輪を垂涎の思いで眺めていた。
  3. フィギュアマニア垂涎ものの逸品がずらりと並べられている。
他にはどのようなものがあるでしょうか。例文を考えることで、言葉の意味をより深い理解を得ることにつながりますので、みなさんも考えてみましょう。

まとめ

「垂涎」とは、「よだれを垂らすほど欲しい物」を意味することをご理解いただけましたでしょうか。

「垂涎」という言葉は、あまり日常会話で使われることがないかもしれませんが、知っておいて損をすることは絶対にありません。

この機会に、「垂涎」以外にも、みなさんの中で曖昧なままになっている言葉の意味や使い方を調べてみるのも楽しいですね。

本記事が、みなさんが漢字マニア垂涎の的となるキッカケになれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。