「嘆息」の意味と使い方をわかりやすく解説!嘆息(たんそく)を使った例文を紹介

嘆息の意味

不運に見舞われたとき、やりきれないことが起こったとき、心のバランスの崩れを感じ、ついついため息をついてしまうことがありますよね。

実際、ため息は、バランスが崩れた自律神経の働きを回復させようとする体の作用で、機能回復のために必要な動作なのです。

とはいえ、ため息が出るような出来事には、できれば遭遇したくないものですよね。

今回は、「嘆息」つまりため息についての解説をしていきます。

嘆息の意味・読み方

「嘆息」とは、「たんそく」と読み、「悲しんだりがっかりしたりして、ため息をつくこと」を意味しています。

「嘆息」の「嘆」は、「口」と「難(省略形)」とからできた会意文字です。

「口」という象形文字と、「火などの災いにあって祈る巫女(みこ)」の象形文字の省略系「難」から、「苦しみになげくこと」を意味する「難」が生まれました。

また、「息」は、鼻の象形文字である「自」と、心臓の象形「心」とでできた会意文字です。

心臓からは鼻に抜ける空気、すなわち「いき」を表しています。

これらを組み合わせると、「苦しみになげいて、つく息」となり、すなわち「嘆息」であることがわかります。

嘆息の使い方

「嘆息」の意味は、「なげいて、ため息をつくこと」ですので、深い悲しみに陥った様子、がっかりした状態を表す場合の使用が適切です。

その際、「嘆息」自体は名詞ですので、自立語・主語として「嘆息をもらす」のように使うことができます。

また、「〜する」「〜した」という動詞をつけ、「嘆息する」のようにも使えます。

 

なお、大辞林 第三版の解説では、悲しみの表現のだけでなく、感心したりしてため息をつくこと」との意味も含む旨が記載されていますが、このような、どちらかといえばポジティブな状態において使用を可とする見解は少数派です。

感心、安心などによる「息」は、「ため息」「吐息」に分類されることが多く、このあたりが「嘆息」との違いといえます。

つまり、「悲しみのみならず、感心や安心をしたときにつく息」が「ため息」「吐息」で、「悲しみに嘆き、つく息」が「嘆息」であるということです。

嘆息の類義語・同義語

上記の「ため息」を含め、「嘆息」にはいくつかの類義語があります。

「嘆声・歎声(たんせい)」「大息(たいそく)」「太息(ふといき・たいそく)」「吐息(といき)」など、いずれも「大きく息を吐く」「ため息」などの意味があります。

なお、類義語としては、「嘆声・歎声(たんせい)」がもっともふさわしく、「悲しみになげく声」という意味があります。

また、「嘆声」には、「ため息」に含まれる「非常に感心して出す声」という意味も含まれています。

嘆息の対義語・反対語

嘆息(たんそく)の反対語として確立する言葉はありません。

「なげく」の反対語としては「喜ぶ」が挙げられますが、この場合「息」にかかっていないため、「嘆息」の反対語としてはふさわしくないでしょう。

「嘆息」の「なげいてため息をつく」の反対の感情による動作として挙げるなら、「喜んでつく息」ということになりますが、この状態は「息が弾む」とするのが適切でしょう。

また、感情を大別した場合、「なげく」は「高ぶっている状態」とも捉えられます。

この場合、反対の状況は「落ち着く」となりますので、「安堵の息」「安堵のため息」「安堵の吐息」あたりも反対語のニュアンスを含んでいるといえます。

いずれにせよ、確立された反対語はありませんで、参考程度に覚えておくとよいでしょう。

嘆息を使った例文

それでは、「嘆息」を使った例文を考えてみましょう。

「嘆息」は、落胆した場合のため息ですが、大辞林 第三版にある「感心」の意味を含む例文も挙げてみます。それぞれの違いを考えながら読んでみてくださいね。

嘆息を使った例文
  1. 彼女の嘆息まじりのつぶやきが、より悲しさを助長する。
  2. 突然の訃報に、嘆息しつつ空を仰いだ。
  3. 彼は大きく嘆息をついたあと、淡々と修正作業に取りかかった。
  4. 坂本龍馬率いる海援隊の偉業には、嘆息が漏れるばかりだ。

もし、「嘆息」と「ため息」とを入れ替えた場合、文章のニュアンスがどのように変化するかを考えてみてもおもしろいかもしれませんね。

嘆息の意味まとめ

今回の嘆息(たんそく)の記事はいかがでしたでしょうか。

「嘆息」は「なげいてため息をつくこと」、「ため息」は「なげいたとき」のほか、「感動したときや緊張がとけたときにつく息」という意味も含んでいること、おわかりいただけたでしょうか。

日本語の豊富さ、難解さに、嘆息が漏れた方もいるかもしれませんね。

一度、大きく深呼吸して、心のバランスの調和を感じてみましょう。気持ちがすっきりして、きっとまた、はりきって日本語の勉強に励むことができるようになりますよ。

そう考えると、嘆息も悪くないことなのかもしれませんね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。