「とうがたつ」という言葉は、ご存知でしょうか。
けっこうよく耳にするし、意味もわかるし、実際使うけれど、何故「とうがたつ」というのかは、よく分からない。そもそも「とう」って一体ナニ?
「とうがたつ」はそんな位置づけの言葉ではないでしょか。
そこで、以下では「とうがたつ」の意味や用法について深掘りしていきましょう!
「とうがたつ」の意味
「とうがたつ」は「薹が立つ」と書きます。(「塔が建つ」ではありません。念の為)
この「薹」は「蕗の薹(フキノトウ)」の「トウ」です。「薹(トウ)」とは、フキなどの花がつく花茎(かけい)のことです。
春先に、枯れ葉の間からぴょこんと顔を出す、アレです。
フキノトウはちょうど顔を出した頃、まだツボミのうちが食べごろです。
「薹が立つ」とは、それが大きく伸びて、花も開き、食用に適さなくなることを言います。
という訳で「とうがたつ」の意味は、以下のとおりです。
・フキが伸びること。
・盛りを過ぎる(そして食べられなくなる)こと。
・少年が、青年になりかかること。
「とうがたつ」の使い方
では「とうがたつ」はどのように使うのでしょうか。
フキノトウだけでなく、一般に新芽を食べる野菜、例えばアスパラガスやタケノコなどは、大きく育ちすぎると、皮や繊維が固くなり、食べにくくなります。そういう状態を指して、「とうがたっている」(食べごろを過ぎてしまった)と使います。
「少年が、青年になりかかること」という比喩的表現では、「あのサッカー選手はとうがたっている」「監督としてはとうがたっている」などと使います。最高の時期は過ぎてしまったということです。
「とうがたつ」の類義語・同義語
「とうがたつ」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
- 旬をすぎる
- 盛りをすぎる
=食べ物についての他に、ブーム(流行)、人物などについて「とうがたつ」と同じ意味で使われます - 老ける
- 老け込む
- 年頃を過ぎる
=これらは人物などについて「とうがたつ」に似た表現として使われます
他にも、既に最高の盛りの状態を過ぎてしまったことを表現する言葉として、
「衰退」
「弱体化」
「斜陽」
「凋落」
などが挙げられます。
「とうがたつ」の対義語・反対語
「とうがたつ」の対義語・反対語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
「とうがたつ」以前を、反対の状態と捉えると、
- いつまでもお若くて
- 今が旬
- 今が盛り
- 新鮮
- フレッシュ
- 食べごろ
- 最盛期
などが反対表現として挙げられます。
最盛期にも至っていない状態を、反対と考えると、
- 未熟
- 青い
- 青臭い
- 初心者
- 不慣れ
などが、対照的な表現だと言えます。
「とうがたつ」を使った例文
「とうがたつ」はどのように使うのでしょうか。以下に例文を挙げてみました。
「とうがたつ」を使った例文
- アイツは中堅(ちゅうけん)と呼ぶには貫禄不足だが、新人と言うにはとうがたちすぎている。
- アイドルとしては、とうがたっているので、演技力をつけて女優を目指すとかしたほうがいい。
- イマドキ三十路(みそじ)ぐらいでとうがたったとか言われちゃかなわないわよ。アラフォーだって女子を名乗る時代ですからねっ!
- ゼンマイは新芽が出るとすぐにとうがたってしまうので、時期を逃さず若芽を収穫する必要があります。
まとめ
以上、「とうがたつ」の意味や用法について深掘りしてみました。
「とうがたつ」だけではなく、さまざまな類語や、対義語など、うまく活用して、ぜひ表現の幅を広げていただければと思います。
この記事が少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。