「所以(ゆえん)」という言葉は、ご存知でしょうか。
まず、そもそも読めないという人も多いかもしれません。学校の国語の時間に見た記憶はあるが、以後、見たことも使ったこともない、という場合もありそうです。
しかし、ちょっと古風な文章などでは普通にでてくる言葉ですので、覚えておいて損はありません。
それでは、以下で「所以」の意味や用法について深掘りしていきましょう!
「所以」の意味・読み方
「所以」は「ゆえん」と読みます。
「ゆえん」という読み方は、「故(ゆえ)になり」の音便「ゆえんなり」からきています。
次に意味ですが、まずは「所以」の漢字をひとつずつ確認していきましょう。
「所」は「ところ」の意味。
「以」は「ゆえに、もって」の意味で、「所以」は漢文の助字として「…を以って…するところ」という意味になります。理由・原因・根拠・手段・方法・目的などを表します。
日本語の熟語としての意味も、基本は同じで、
「そうである理由」
「そうするについての方法」
などを意味します。
「所以」の使い方
では「所以(ゆえん)」はどのように使う言葉でしょうか。
かなり硬い印象の漢語ですので、会話よりも文章中で用います。
しかし、かなり古めかしい漢文調の雰囲気がありますので、文芸作品で使うならともかく、意図の通じやすさを優先すべきビジネス文書などでは、もっとわかりやすい表現に置き換えたほうが無難かもしれません。
「……が御社の業績向上の所以でしょう」というより「……が御社の業績向上の原因と考えられます」のほうがすんなり分かりやすいですよね。
「所以」の類義語・同義語
「所以(ゆえん)」の類義語・同義語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
まず、ものごとの起こった理由を示す類義語として、
「理由」「理屈」「事情」「ことわけ」「原因」「根拠」
などがあげられます。「所以」の使用法としてはこれらの意味で使うのが一般的です。
ただし、物事を行う「手立て」という意味合いでも使われますので注意が必要です。その場合の類義語は、
「手立て」「手段」「方法」
などがあります。
他に「目的」という意味で使われることもあります。
- 理由
- 理屈
- 事情
- ことわけ
- 原因
- 根拠
- 手立て
- 手段
- 方法
- 目的
「所以」の対義語・反対語
「所以(ゆえん)」の対義語・反対語にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に、例をあげてみましょう。
- 「所以」は原因や根拠を意味しますので、反対語としては、以下のものが挙げられます。
- 「結果」 起こったものごとが最終的に生み出すものです。
- 「帰結」 物事、行動、議論などが、最後にたどり着く結果です。
- 「帰着」 物事、行動、議論などが、最後にたどり着くことです。
- 「決着」 物事、行動、議論などの最後が決まって、落ち着くことです。
- 「成果」 行動や仕事などが終わって、最後に得られるものです。
「所以」を使った例文
「所以(ゆえん)」はどのように使うのでしょうか。以下に例文を挙げてみました。
- 何度騙されても裏切られても絶対に学習しないのが、馬鹿が馬鹿たる所以さ。
- 安易に魔法に頼るストーリー展開が、荒唐無稽とか、ご都合主義とか批判される所以だろう。
- いたわりの言葉を掛けるだけでなく、家事も率先して行うのが、彼が愛妻家と呼ばれる所以だ。
- 人間の人間たる所以は、己の欲望に打ち勝つ克己心にある。
まとめ
以上、「所以」の意味や用法について深掘りしてみました。
「所以」だけではなく、「理由」「根拠」「原因」などのさまざまな類語や対義語など、うまく活用して表現の幅を広げていただければと思います。
この記事が少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。