「前衛的」の意味と使い方を解説!「前衛的」を使った例文を紹介

前衛的

「前衛的」という言葉に、どのようなイメージを持っていますか。

芸術作品や文学、ファッションや建築のデザインなどについて、新しくて奇抜なことを表す言葉という印象ではないでしょうか。

もしかしたら、シュルレアリスムやダダ、アングラといった言葉を連想するかもしれません。

単に「前衛」だったらどうでしょう。

バレーボールや、テニス等のダブルス種目における選手のポジションが思い浮かびます。

「前衛」は、自陣の前方に位置してプレーする、フォワードとも呼ばれる役割です。

「前衛的」と、「的」が付くだけで、スポーツとは関係のない意味合いが強くなるのはなぜでしょうか。

それでは、「前衛的」の意味と使い方について説明していきましょう。

「前衛的」の意味

第一次世界大戦(1914-1918)の後、ヨーロッパでは急進的な芸術革新運動が起こりました。

芸術界における伝統的・保守的な価値観を覆そうと、実験的で斬新な絵画や文学作品が多く生み出されました。

この運動を興した芸術家たちや、作品を形容した言葉が、【avant-garde】(アヴァンギャルド)です。

 

アヴァンギャルドは、フランス語の軍事用語で、訳すと「前衛」となります。

軍隊における先頭部隊・先鋒部隊のことです。

主力部隊の前方にあって、敵地を偵察する、先陣を切って敵を攻撃する等の任に当たりました。

「先頭に立って敵と戦う兵隊」を意味する言葉で、変革者である芸術家たちを言い表したのです。

 

「前衛」運動は世界の潮流となり、日本にも影響を与えました。

そのため、「前衛」は、軍事用語としてよりも、芸術文化に関わりの深い言葉として広まったのでしょう。

 

現在、「前衛的」は、文化や思想が時代の最先端を行っている、先駆的、挑戦的といった意味で使われています。

 

「前衛的」の使い方

「前衛」という言葉は、もともと革新的・先駆的な芸術運動や運動家を形容した言葉でした。

そのため、物事について「前衛的」と言い表す時には、

  • 現代的だ
  • 今風だ

といった、無難な「新しさ」にとどまらない、

  • 既存の価値観に抵抗している。
  • 見慣れたものから逸脱している。
  • 旧習を打破している。

といった、挑戦的、実験的な気概を感じ取った場合に用いるのが、より相応しいといえるのではないでしょうか。

 

A「例の機種のモデルチェンジ後の売上はどうですか」

B「順調なようです」

A「デザインが前衛的で、驚きましたが」

B「おかげで、新たな客層を獲得できたようですよ」

 

「前衛的」の類義語・同義語

「前衛的」の類義語・同義語は、新しさを形容する言葉ということになります。

しかし、単なる新しさではなく、どこか今までとは違う、今までに無いというニュアンスを含むものが適当です。

「前衛的」の類義語
  • 新奇である。
  • 目新しい。
  • 独創性に富む。
  • 新感覚ポップである。

また、流行の最先端を行っているという意味合いの言葉としては、

  • 時代を先取りしている。
  • トレンディである。
  • 次世代的である。
  • ニューウェーブ
  • 先鋭的

といったものがあります。

「前衛的」の対義語・反対語

「前衛的」の対義語・反対語としては、物事が古く、目新しさがないことを表す言葉があげられます。

「前衛的」の対義語・反対語
  • ありきたり
  • 前時代的
  • 代わり映えしない。
  • 伝統的

などです。

また、従来の価値観を守る姿勢を表す言葉としては、

  • 保守的
  • 迎合的
  • 因習的
  • 退嬰的
  • コンサバティブ

などがあります。

「前衛的」を使った例文

「前衛的」はどのように使うのでしょうか。

以下に例文を挙げてみました。

「前衛的」を使った例文
  1. 小説を投稿したところ、前衛的作風を評価され、佳作に入選しました。
  2. 兄のファッションは極めて前衛的で、学校では目立っています。
  3. 長年の問題を解決するため、前衛的な手法を試みてみようと思います。
  4. 僕は保守的なので、彼の前衛的な思想には付いていけません。
  5. 海外旅行先で訪れた美術館は、前衛的でたいへん洒落た建物でした。
  6. 20世紀初頭において、印象派の絵画は前衛的だと見なされていました。
  7. 岡本太郎や草間弥生は、日本の前衛的芸術家の代表格と言えます。

まとめ

「前衛的」という言葉は、20世紀前半に起きた芸術革新運動である「前衛(アヴァンギャルド)」の思想や作品群をルーツとしています。

そのため、単なる新しさを意味するだけの言葉ではありません。

新しいというだけではなく、その中に、古くからある価値観に挑んでいくような鋭さがあり、実験的・急進的な姿勢が見られる場合に用いるのが適当でしょう。

この記事が少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。